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リンツ伝  作者: レベル低下中
第一章 領地改革編
159/1781

2つの街を考える

 実は、ロスリーとスーディルという、2つの街の将来像というものを考えている。

 この両市は、それぞれが持つ雰囲気が明らかに違うし、市民の気質も違う。


 比較的静かなロスリーと、港町特有の喧噪が支配するスーディル。

 丁度、整然とした東京と雑然とした大阪の違い、といったところか。


 まあ、東京、大阪どちらにも住んだ経験のある身としては、このステレオタイプの印象が、必ずしも全てでは無いことを知ってはいるが・・・


 まあ、それはともかく、2つの街を同じ雰囲気に統一しようなどとは考えていない。

 違うからこそ、それぞれが成長し合える仲であって欲しいと願っている。

 ということで、セバスと再開発中のロスリー商店街を視察している。


「やはり、ロスリーの方が、やや高級志向ですな。」

「そうだね。それとスーディルよりバランスが取れている。肉屋の隣に肉屋、そしてそれが競い合ってるがスーディルだもんね。」

「そうでしたな。あれで何とかなるのがスーディルですな。」

「ホントそれ。しかも道が異様に狭い。肩がぶつかるくらいが丁度良いって思ってそう。」


「食器の店の隣が洗濯屋、さらに靴屋と、この通りを歩けば一通り揃うのがロスリー。」

「道に迷うのがスーディル。しかも視界が狭いので、もう出られない。」

「その間にいろいろ買わされる。改めて見てみますと、全く違いますなあ。」

「そうだね。街道沿いに発達したので、比較的縦横に通りが整ったのが、ロスリーなのでしょうね。対して、港から発展したのがスーディル。何か、いつの間にか街道まで街ができちゃいました的なカオスがある。」

「あれは、あれで良いのかも知れませんなあ。」

「全く意図も計画性も無いけど、趣は抜群だよね。」

「ええ、しかも既に新しい建物が、その区画に沿って建っておりますからなあ。」


「スーディルは、諦めますか。」

「まあ、もう少し綺麗にしてはいかがです。」

「じゃあ、綺麗にする程度にしましょうか。」

「そうですな。お金もかかりませんし。」

 まさか、こんな所で街の将来像が決まってしまっていることを、市民は知らない。


「それで、ロスリーはいかがします。」

「次は、この空き店舗を含む5軒を取り壊して長屋式の店舗としましょう。入口は別の建物を装って、しかし、統一感を持たせるデザインで。」


「やはり、スーディルとは全く違う表情になりますな。」

「きっと、そこがロスリーの良さだよ。」

「そうですな。どうせなら帝都民が驚くような整然とした街にしてしまいましょう。」


 こうしてプランは立てられてゆく。


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