屋敷の日常
うちの屋敷は、いつものどかだ。
家主がこんなだからだろう。
マリアさんですら、父のいない時は割と暢気なものである。
ゲルハルトは、春が来るまで庭師の仕事がほとんど無いので、馬の世話を入念にしている。
いや、ディゼルとじゃれている。
メイド5人衆は、掃除と洗濯は全員攻撃状態である。
でも、そこから出ている音量の大半はアイリーンさんとウルさんが発生源である。
つまり、彼女たちはいつでもどこにいるのかが分かる。
対照的に、気配を消失させてしまうのがオルガ・ローサ組である。
まあ、あの二人がサボるなんて、ゲルハルトが真面目に仕事するくらい、あり得ないのだが・・・
ジョセフさんとヤンさんは、今日も新メニュー開発に余念が無い。
屋敷全員の調理をしても余裕があるのだ。
料理人の数は少ないが、屋敷の人数もまた、少ないのである。
そして、私とセバスは風呂の工事を監督している。
もうすぐお茶の時間だ。
「お茶の準備が整いました。」
「では、広間に参りましょうかな。」
「ゲル~、先に行ってるよ!」
いつもの光景。
「もうすぐ工事も完成しますね。」
「どんな便利機能なのかしら。」
「完成したら、みんな使っていいんだからね。」
「お風呂、もでしょうか。」
「勿論、石けんや洗髪料も自由に使って、感想なんか聞かせて欲しいな。」
「分かったぜ!家でも使ってちゃんと報告しまさあ!」
堂々と持って帰ろうとするな!
「でも、お坊ちゃまのおかげで、便利になり、毎日が楽しいです。」
「マリアさんの評価が一番客観的なので、そう言ってもらえると嬉しいよ。」
ローサは絶対褒めるし、オルガさんはあれだし。
「でも、お風呂って贅沢よね。」
「もう、これ以上綺麗になっちゃったら・・・旦那が。」
「姉さん、あの義兄さんなら、そんなに力まなくても・・・」
「おだまり!あんたも早くいい人見つけてから言いなさい!」
「もうあんたたちは、喧嘩しないとものが食べられないのかねえ。」
「そうですわね。少しはローサちゃんを見習ってくれるとねえ。」
いつもこれだ。そう、いつもの光景。




