盗賊による襲撃
「坊ちゃん、ただ今スーディルの騎士団から伝令が参りました。どうやら盗賊による襲撃があり、多数の被害が出ている模様です。」
「盗賊?最近聞いたこと無かったが・・・とにかく騎士団を現地に派遣し、被害状況の把握、盗賊の捕縛、怪我人がいるなら救助をさせて!」
「はい、承知しました。」
いや、そりゃ盗賊くらいいるだろうが、騎士団が伝令を飛ばすというのは尋常ではない。
「セバス、うちの領内に盗賊って多いの?」
「ええ、つい最近まで非常に貧しい地域でしたし、山も多いので、潜むのも逃げるのも容易いということで、多いと考えます。」
「襲撃って言ってたけど、何が襲われたのかな。」
「もう少し、詳しい情報が入るのを待ちましょう。」
「詳しい状況は分かった?」
「はい、集落が襲われたそうです。場所は、ジル川を遡ったデ=ロペン峠に近いコートという集落だそうです。」
ジル川とはスーディル市内に流れ込む川で、現地の峠を越えれば、シュバイツァー男爵領である。
「集落を襲うって、盗賊はかなりの人数だろうね。」
「ええ、死者多数と聞いております。恐らく、集落に数十人は暮らしていたと思いますので、かなり戦闘に長けた者たちに襲われたと見るのが妥当でしょう。」
「被害者はどうしてる?」
「ええ、住民はスーディル市内に運ばれているとのことです。」
「全員収容できる場所があるといいけど・・・」
「取りあえずは、騎士団駐屯地へ案内することになるでしょう。」
「今後の対策を打ち合わせたい。騎士団長を呼んで欲しい。」
「では、もう少し現地の様子が判明したら、打ち合わせることとしましょう。」
正直、あまり盗賊が出た、なんて話は聞いたことがなかったので、こういったことに関心を寄せることはなかったが、よく考えれば、こういうことが十分起こりうる時代である。
そう、盗賊なんか、当たり前にいて、人が簡単に命を落とす社会。
それを目の当たりにして、思わずシリアスな現実に引き込まれたような感覚になる。
さあ、これからどう対策を打てばよいか・・・




