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リンツ伝  作者: レベル低下中
第一章 領地改革編
124/1781

盗賊による襲撃

「坊ちゃん、ただ今スーディルの騎士団から伝令が参りました。どうやら盗賊による襲撃があり、多数の被害が出ている模様です。」


「盗賊?最近聞いたこと無かったが・・・とにかく騎士団を現地に派遣し、被害状況の把握、盗賊の捕縛、怪我人がいるなら救助をさせて!」

「はい、承知しました。」


 いや、そりゃ盗賊くらいいるだろうが、騎士団が伝令を飛ばすというのは尋常ではない。


「セバス、うちの領内に盗賊って多いの?」

「ええ、つい最近まで非常に貧しい地域でしたし、山も多いので、潜むのも逃げるのも容易いということで、多いと考えます。」

「襲撃って言ってたけど、何が襲われたのかな。」

「もう少し、詳しい情報が入るのを待ちましょう。」



「詳しい状況は分かった?」

「はい、集落が襲われたそうです。場所は、ジル川を遡ったデ=ロペン峠に近いコートという集落だそうです。」


 ジル川とはスーディル市内に流れ込む川で、現地の峠を越えれば、シュバイツァー男爵領である。

「集落を襲うって、盗賊はかなりの人数だろうね。」

「ええ、死者多数と聞いております。恐らく、集落に数十人は暮らしていたと思いますので、かなり戦闘に長けた者たちに襲われたと見るのが妥当でしょう。」


「被害者はどうしてる?」

「ええ、住民はスーディル市内に運ばれているとのことです。」

「全員収容できる場所があるといいけど・・・」

「取りあえずは、騎士団駐屯地へ案内することになるでしょう。」


「今後の対策を打ち合わせたい。騎士団長を呼んで欲しい。」

「では、もう少し現地の様子が判明したら、打ち合わせることとしましょう。」


 正直、あまり盗賊が出た、なんて話は聞いたことがなかったので、こういったことに関心を寄せることはなかったが、よく考えれば、こういうことが十分起こりうる時代である。

 そう、盗賊なんか、当たり前にいて、人が簡単に命を落とす社会。

 それを目の当たりにして、思わずシリアスな現実に引き込まれたような感覚になる。


 さあ、これからどう対策を打てばよいか・・・


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