木工作業場視察
ここは、商店街の東端にある家具、木工の店。
今日はここの視察を行う。
「商売の具合はどうですか。」
「新築の家が増えてるからね。まあ、儲けさせてもらってますよ。」
「材料はちゃんと入ってます?」
「ああ、燃料は手に入りづらいけど、家具用の木材は別物だからねえ。特に問題ないよ。」
そう、この国では、家具に使うような大径材は高価で貴重だが、薪は安価なのである。 つまり、同じ木材でも、市場では全く別物扱いである。
「この木材を加工できますか?」
南大陸から持ち込んだ、例の木材。
「これは独特なツヤがある、いいものですね。どんな物であっても、木材である以上は加工できるって、これかなり堅いですね。」
「堅すぎて使えませんか?」
「いや、使えるが・・・重いし堅いので、使う家具の種類、若しくは使いどころを限定した方がいいかも知れないね。」
「これは、南大陸の木なんですが、これからこの木を買い付けたいと考えているんです。使い道を考えてみていただけないでしょうか?」
「面白そうだね。少し時間をいただけると。」
「分かりました。」
「これだけ堅いと多分、腐りにくいとは思うんですが。後、曲がりやすさや磨いたときの見た目、塗料の乗り具合なども見ておくべきかと思います。」
「確かにそのとおりだね。」
「しかし、海の向こうの木ですか。よくこんな材料を探してきたものです。」
まあ、主はクラリネット用なんだけど・・・
さて、午後からは食品加工工廠へ 。
「ここが醸造部門です。現在、製造中のものはワインのみですが、今後は種類、量とも増やしていきます。あちらが海産物の梱包部門です。乾物は、ウスターから毎日一定量が搬入される予定ですので、占有スペースとしては、あの程度としています。」
「向こうの製造ラインはお菓子だね。」
「はい。最初はクッキーとビスケットのみの生産となります。将来的には、醸造部門、菓子部門のほか、調味料の部門も置いて別棟で生産しますが、今はこれで十分ですので。」
「早く材料が揃えられるよう、努力するよ。それと、従業員の訓練は上手くいってるかな?」
「はい、醸造はまだ難しいですが、撹拌や梱包は随分上手くできるようになってきました。」
「まずは、早さより仕上がりの丁寧さを重要視して欲しい。」
「そのように努めます。」
ここでも、ロスリー商会から借りた人材が、管理者として活躍している。
まあ、商品を卸すのも商会だけど。




