収穫祭
帝国内ではこの時期、各地で収穫祭が行われる。
ここリンツ領内でも、例外なく祭りが開催される。
そして、それぞれの地で、伝統や風習を活かした特色ある催しが行われる。
ロスリーの収穫祭は仮装行列が名物だが、今年は例年より参加者がかなり多いとのことで、東部街道を閉鎖して開設された会場では、長い行列が続く。
「今年の仮装行列はみんな力が入ってたね。」
「そうですなあ。何たって景気がいいですからなあ。あっしも若い頃は参加してたんですがなあ。」
「ゲルハルトならモンスターとか?」
「いやあ、ネコの格好だな。」
「酔っ払いの?」
「ワッハッハ!マタタビ食べたネコだよ。」
「そりゃいいですね。」
「ゲルおじさま、とてもお似合いだと思います。」
「セバスは参加したことないの?」
「いえ、私はいつもこの格好です。まあ、町中でこの格好は仮装と大差ないですけどな。」
「まあ、あちらに美味しそうなお店がたくさん。」
「今年から野菜や魚の品評会を始めたし、お菓子を出す店も増えたね。」
「酒もあるんかなあ?」
「あらあら、奥様をお呼びしないといけなくなりますわあ。」
「いや、ありゃ子供に付きっきりだからな!呼ぶなよ、絶対だぞ。」
それ絶対呼ぶヤツだからね。
「ローサ、クッキー食べる?買ってあげるよ。」
「はい、その、ありがとうございます。」
「良い、雰囲気ですな。」
どっちが?
「秋は食いもんといい、季節といい、何でも良いもんじゃ!」
「あ、あれは何ですか?」
「水かけだね。大昔は果物を投げてたらしい。」
「ええ、当家の財政が苦しくなった時代に、時のご当主様が禁止して以来、水を掛けるようになったものですな。」
「まあ、お金が出来たからといって、食べ物を投げるのを復活させる気はないけどね。」
「そうですな。しかし、収穫祭も新しい出し物など、いかがです。」
「来年は商店街の建物爆破でも、メインにしてみようかな。」
「盛り上がりそうですな。」
祭りの革命が起きそうだ。




