表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リンツ伝  作者: レベル低下中
第一章 領地改革編
105/1781

吾輩は教師である。

 学校が開校した。


 開校式兼入学式には出席したが、やはりあれはいつ見ても新鮮で晴れやかな気持ちになる。

 まだ生徒数が少ないため、彼らを街中で見かけることは無いが、子供達の通学する姿が街の風物詩になってくれると嬉しい。


 そう、吾輩はどこまでも教師なのである、決して金のことばかり考えている訳ではないのである。

 その証拠に、私は教育活動、いや、教師をしている。


「ここにりんごが一つ、もう一つここにりんご、さて数えてごらん。」

「いち、に。」

「そう、これを紙に書くと、1と1で2なんだ。これを足し算っていうんだよ。」

 ここに一人の生徒がいる、そう、ローサだ。


 彼女は領民学校を今年卒業する年齢なので、教育を受ける機会がない。

 そこで、休日にこうして教えている訳だ。

 もちろん教科書は学校と同じ物を使っている。


「はい。とてもよく分かります。ありがとうございます。」

 ニコッと笑顔になる。とても可愛い。生意気な久保ちゃんとは大違いである。


「これがミルク、これが味、これは良い、という意味の言葉だよ。」

「ミルク・・・良い・・・味・・・・おいしい・・・」

「そう、ちゃんと話す言葉と同じ文字があって、二つの言葉を合わせるともっと素敵な言葉になるんだよ。」

「読めました!」

 本当にいい笑顔をする。


「よくできました。これならすぐ本も読めるようになるし、計算もできるよ。ローサは本当に頭がいいと思うよ。」

「・・・・あ、りがとう、ご、ございます。」

 照れてる照れてる。センセイもデレデレだよ。


「とは言っても、うちには良い本がないからなあ。もし、興味があるなら神聖教典っていうのがあるけど、そのくらいかなあ。」

「お祈りの本、でしょうか。」

「そうそう、所々難しい言葉はあるけど、基本は親が子供に読み聞かせるものだから。もう少し言葉の読み方を覚えたら、読んでみるといいよ。」

「はい、分かりました!」


 久保ちゃん、これ、これなんだよ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ