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盲腸は晴れた日曜日に多いらしい

盲腸こと、虫垂炎。

晴れた日曜日に多いと以前なんかで見かけました。

えぇ、かくいうわたしも日曜日に手術しましたね…。

どんだけ病気に見舞われているんだとなりそうですが、小4の時の話なので大丈夫です。

なんなら、幼稚園〜この手術のときまでずっと皆勤賞だった健康優良児なので!

幼稚園の皆勤賞とか全体で5人だったから!健康的なお子様だったのです。


まぁ、怪我はしていましたけどね。

傘で遊んでいたら脛を切って数針縫ったり、コンクリで頭をぶつけて流血してこれまた数針縫ったりやんちゃが過ぎただけのかわいいものですね。

ただ縫った頭のてっぺんあたり、ずっと髪の毛が生えてこないからセンター分けができないのは悩み。


基本子どもの頃の記憶はあまり覚えていないのですが父の日の前週だったから、たぶん6月の1週目でしょう。

その日は土曜日で、暑かったのでアイスを食べていたんですよ。

それも調子にのって2本ぺろっと。

土曜日の3時からは習い事の空手があります。

2つ上の兄とたいそう仲が良かったので、「兄がいるなら空手いく!」と小1から習い始めました。

父も兄と同じタイミングで始めていたので、親子3人で通っていました。


「さぁ、着替えて行くよ!」という段階でどうもお腹が痛い。

「お腹痛いから今日はお休みする…」と言い始める小4飴矢(9歳)

「アイス食べ過ぎるけやろうが!ほら行くぞ!」と連れて行こうとする父。

「やだ!いかない!」と徹底抗戦の飴矢。

言い出したら基本きかない性格なのと、大人しく準備をすませて待っている兄がいるので渋々といった感じで父が先に折れた。


1時間後。

当時はケータイが普及していなかったので、公衆電話から自宅に電話。

「いまからでもいいけ、早よ空手にこんか!(訳:早く空手に来なさい)」

父、お怒り。

「お腹、痛いけん嫌っ」

全力で拒否ってそのまま休んだ。

腹痛はそのまま夜まで続き「正露丸でも飲んどき」っと言われて「お腹はこわしてないんだけどな」と思いながらもとりあえず飲んでおく。


寝がけにも「お腹痛い…」と言っていたら父が「寝たら治る。明日になったらどうもないけん早く寝なさい」と。

この腹痛の1か月前に「足が痛い」と騒いで結局はただの成長痛だった前科とアイスの食べ過ぎがよくなかった。


翌朝、腹痛にて起床。

「寝たら治るって言ったのに騙された」という気持ちでいっぱいで朝からしくしく泣いていた。

すすり泣きに気付いて母も起床。

「あめちゃん、どうしたの?」

母、やさしい。お腹が痛くて目が覚めたことを伝える。

とりあえずトイレに行っておいでと言われるも、別にお腹はこわしていない。

ずっと痛がっているし、泣いているので日曜日だから急患センターにとりあえず行こうかということになる。


急患センターに行く途中の車内で吐いた。

車酔いしやすいが、さすがに10分ほどで吐くほど弱くもない。

急患センターでとりあえず血液検査。

血管が細く、看護師さん泣かせだし本人も痛みと恐怖で涙目。

採血が終わったら結果を待つ間に点滴。

「これが終わったらよくなるからねー」と看護師さんも声を掛けてくれた。

結果。よくならない。

触診と採血の結果も白血球が多く虫垂炎の可能性が高いから、手術もできる別の病院に行くことになる。


寝たら治るとか点滴終わったらよくなるとか言って…不信感でいっぱいだったので、ぶすくれていた。

当時ちょうど某おかっぱ少女と愉快な仲間たちの漫画の巻末に、作者が虫垂炎になった体験談の漫画が載っていたのを読んだばかりだった。

それで虫垂炎は激痛でお腹の右下が痛いものとして認識していた。

件の成長痛の折に父から「ぎょうらしい(訳:大げさだ)」と言われたので、自分が我慢できる痛みだから大したことはないはずと思っていた。

よく分からないけどお腹全部が痛いし、まさか虫垂炎ではないと思っていた。


移動した病院での検査結果は虫垂炎。

そして今から手術。

人生初めての手術。

大人は局部だけど、子どもだから全身麻酔で手術。

ちなみにこの当時腹腔鏡手術はないので、開腹手術だった。

「え?え?」と状況が理解できないまま準備が進む。

腰に刺された注射はめちゃくちゃ痛かった。


手術室は物珍しくてきょろきょろしていた。

後にドラマでの手術シーンで「あのライト見たことあるわー」となった。

麻酔をかけるよーというときに、酸素マスクのチューブの位置が気に食わなかった。

そう思いながら、目を閉じて開けたら手術は終わっていた。

体感はまばたきしただけの時間感覚。


「お父さんとお母さん来てるよー。分かる?」

と聞かれて、顔を向けると被り物で髪を隠してマスクをしている両親がいた。子どもなのでその格好の意味もわからずただ変な格好と思った。

起きて早々、父への「寝たら治ると言って結局、手術されて…騙された!」と怒りが込み上げ、しっしと手で追い払う仕草をした。

親は「あぁ、この子は意識もはっきりしているし元気だな」と安心したという。


手術で疲れたのか、その日は病室に戻ってもわりとずっと寝ていた。

そして翌日から絶食。

腸が動き出すまで…おならが出るまで食べられない。

「お腹すいたよぅ」と思いつつ、耐える。

後日、当時はだいぶ恥じらいもあったが空腹が勝り素直におならが出た報告をして重湯から食事の再開。

このへんで、担任の先生がクラスメイトたちからのメッセージなんかのお見舞いを持ってきてくれたが

点滴の交換で針を刺すのに3連続失敗でギャン泣きしているという最悪のタイミングだった。


食事を再開してだいぶ元気になったあたりで当時としては珍しい男性の担当看護師さんが髪を洗ってくれて、さっぱりしたしうれしかったことを覚えている。

入院7日目の土曜日、主治医とは別の先生が回診にきた。

すっかり元気だったのでめちゃくちゃ退屈だった。

「もう元気だし退院したい…」と言うと「日曜に入院したのかー。1週間経つね、いいよ!退院しよ!」とおじさん先生からあっさり許可がおりた。

運動は1か月はしたらだめ、水泳は今夏はだめ、学校は週明けから行っていいとのこと。

来週また病院に来てね!となって帰宅決定。


帰宅して、その頃とても大事に育てていたタマゴ型の育成ゲームがあったのでどこかとまず聞いてみた。

気まずそうに母が差し出したゲーム画面を見てめっちゃ泣いた。

「ぽちが!わたしのぽちがお墓になっとる!」と本人としては入院と手術よりショックを受けた模様。


翌週に会った主治医の先生から「来週からは学校にいっていいですよ」と言われるもすでに行っていたりなどはあったが、順調な回復。

すでに足と頭に縫った跡もあるので、お腹の傷は別に見える場所でもないしと気にならなかった。

手術後、ぽっちゃり体型へ変わったり喘息が治ったりと健康優良児復活。

結局、小学生の頃の休みはこの時の1週間だけで皆勤賞はもらい損なった。


そしてこの虫垂炎よりかるく3倍は生理痛のが痛いような…もし成人してからだったら、虫垂炎に気付くのがかなり遅れて腹膜炎を併発しそうで危なかったなと思った。

小さい頃に取っておいてよかったと心底思う。

先生方から「もっと早く来て」とか「あと3日早く来てたらギプス固定できたのに」などとお叱りを受ける今日この頃。

ぎょうらしいのはどこにいったんだろうか…というより、むしろ痛みに鈍感なのではないだろうかと今や別の心配が出てきている。

ぶすくれるが方言だということをさっき知った…。

気付いたところは(標準語訳)で書いていたのに…ふてくされるといった意味合いです。

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― 新着の感想 ―
[一言] 飴矢さま,生き別れの○○だったりしません…?(笑 わたしもU字のブロックで脛を切って(縫合はなかったけど)傷跡が残ったり,頭のてっぺんの渦の間に縫合ハゲがあったり,階段のぼり2段目を踏み外し…
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