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飴矢とコーギーと競走馬

大学生の頃。定期もあるし、学校帰りは都会でウィンドウショッピングなんかをしていた。

ある日、立ち寄ったペットショップでめっちゃかわいい仔犬と出会う。

ウェルシュコーギーで間もなく4ヶ月になる頃合い。

え、超かわいい。何なの、かわいい。


ガン見していたら店員さんに抱っこしてみませんか?とすすめられるがままに抱く。

ふわふわ。ふわっふわ。

めっちゃ目が合う。え?懐いてる。懐いてるよね?

都会の狭いペットショップ、4ヶ月を過ぎた仔犬はケースから出され、低い柵に囲まれ自由に触れるスタイル。

…環境、悪くね?そしてこの子も間もなく4ヶ月…。

大学生。当時はクレジットカードなんて持っていない。泣く泣く帰宅。


数日後も気になって見にいく。

…お尻を向けて顔も隠して熟睡。

寝顔もかわいいー♡ってなるもんじゃないのか?

営業努力、足りてないけど大丈夫か?

4ヶ月になるとそこから出されてお触りフリーのコーナーだよ?!

ダメだ、この子は家に連れて帰らないと…。


帰宅後。家族に相談。

「犬が買いたい。バイトのお金から出すし、世話もするから!」

ここで難関。我が家で小さい犬は父が認めなくて飼えない。

コーギー、どうやらそこまで大きくないようだ。

「コーギーっていう犬で大きさは…柴犬より二回りくらい大きい」

…ちょっとサイズ感は盛った。

こうして家族の許可も得て、男の子だったら父が、女だったらわたしが名付けることとなり仔犬を迎えることとなる。

「とにかくあの子がいい!」状態だったので、そういえば性別は見てなかった。


さて、あの子を迎えに行く日。

わたしと兄は授業があるので、両親が仔犬を迎えに行った。

あと、仔犬は男の子だった。マジか。

仔犬は「こてつ」と命名された。

女の子だったら「小夏」だったので大差はない。


こてつ、店員さんからいきなり父へパスされる。

やたら人懐っこいのかめちゃくちゃ舐められる父。

久しぶりに犬に舐められる父。

そっと母へパスされたそうだ。

母もめっちゃ舐められた。

この時点で2人、こてつの勢いに少々引き気味。

犬は好きだが、全力で舐められることは今までにないしベタベタする。


帰りの車中。車酔いをしたのか戻してしまうこてつ。

母が心配して見ていたが、気付いたら吐き戻された物は消えていた。

…食べたの?この仔犬、大丈夫かなと色々と心配になる。

帰宅後は慣れさせるためにもすぐ首輪。

意外と大人しくされるがまま。賢いじゃないか。

そして家で待っていた祖父と対面。


その後、兄帰宅。

兄も帰ったら仔犬がいる!とわくわくして帰宅しただろうに初対面で「ワン!」と吠えられる。

仔犬らしい「きゃん!」ではなくいきなりワンと鳴いたとのこと。

…兄、どんな気持ちだったんだろう。

番犬適性◎


最後にわたし帰宅。

全力で甘えるこてつ。超かわいい。

え?兄、吠えられたの…?

わたしのことは覚えてたんだね、えらいねー!

忠犬◎


そして決定する我が家でのこてつ的順位

  わたし

   父

  母・犬

   祖父

   兄

この順位は彼の生涯、覆らなかった。

会って自分が撫でられた順、祖父は家の中にいたから自分より後で来た人扱いで兄にいたっては子分かお友達扱いだった。


さて、こてつ。

「柴犬より二回りくらい大きい」に実際なりました。

動物病院で他所のコーギーを見かけた母が「何ヶ月ですか?」と聞くと「…四歳です」と返されたくらいには。

ごめん、母。わたしがコーギーのサイズを大きく言っていたばかりに…。

7〜8キロのその子にたいして、うちのこてつは1歳にもなっていないのに16キロだったから…。

「小さいコーギーを見たよ!」という母に確かに小さめだけど、向こうからするとうちの犬がむしろやたら大きいと思われてるとは言いづらかった…。

ちゃんと母には大きめコーギーで14〜16キロくらいだと白状した。

こてつは最終的に18キロ(くびれはあるから太り過ぎではない)まで育った。


こてつは呼んだらくるし、むしろ呼ばなくてもやってくる犬だった。

散歩は最初の数十メートルダッシュしたらあとはのんびりしていた。

むしろ帰りたいと匂いを嗅ぐふりをしながら座り込む始末。

ダイエットがしたい母と兄はこてつを1回家に置いて、2回目の散歩に行ってた。

帰宅すると犬はいる。車もある。母がいないという謎状況は、母いわく「こてつが一緒だと散歩にならない!」とのことで起きていた。

飼育書の「運動が大好きな犬種です」とは…。


散歩中、よそ見をしていてさすがに気付くだろうと見守っていたら電柱にぶつかる犬だった。

犬も歩けば棒に当たるをホントにする犬っているんだ…と思った。

溝にもついでにはまっていた。

…飛び越えられると思ったんだろうけど、コーギーの足は短い。


散歩より何よりご飯が大好きだった。

ご飯の時間が近付くと構ってくれない。

「はいはい」といった様子でちょっと近付いて「じゃあ今忙しいんで!」とばかりに踵を返してご飯待ち姿勢に。

1回もご飯忘れたことないのに…何なら間違って2回あげたときも何事もなく完食したし何が彼を駆り立てたのか。


おもちゃは破壊するし、ボールを投げても見失って手ぶらで戻ってくるかそもそも追わないし、拾い食いをしようとして父に怒られて喧嘩して散歩から帰ってくるしで…まぁ、かわいい犬でしたよ。

家族全員ペットロスになったしな。

こてつ、しれっと家の墓に入っているし。

ただなぁ、こてつ。

家に迎え入れた当初が何だろう…茶色に黒毛混じりで痩せてやたら耳と目が大きくて後から見ると彼の生涯で1番かわいくない時期だった(´・ω・`)

数ヶ月後のほうが別犬のように客観的に見たとしても圧倒的にかわいい。

あの時めっちゃかわいい仔犬と思った自分に「???」となる。


さて今春。

見るともなく見ていたテレビのCM。

え?こてつ?

こてつを初めて見たときの感覚が!

あれからペットショップに寄ってどの仔犬を見てもなかった感覚が!


…お前、足が長くなりたかったのか。


競馬のCMでした。

ちなみにジャックドール。

黄色い馬具?つけてるし、こてつも黄色の首輪が1番似合っていたし毛色も似てるなー。

うちの子、馬になったんか?と思いながら見ていたらCMでやってた大きいレース、優勝してた。


とりあえずジャックドールは推さなきゃと思って、そこから大きいレースは少しだけ賭けてる。

馬かわいい。

家族で宝くじにあててた分が競馬になった。

100円、200円のお遊びレベルだけど今のところ収支がプラスなんだよな。

ジャックドールが引退したら牧場に見に行くことが当座の目標で、そこに向けて貯金をしている。

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[一言] お兄さん…( ;∀;)
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