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16.女神?降臨

「ひまりの、ママ……。確かに似てるかも」

『ふふ、ありがとう。驚かないのね?』

「はい、それはもう、開き直ったといいますか……」


ここまで来たら、今さらジタバタしようもない。

ひまりもひまりママも、綺麗なだけで怖さも感じないし。


『ママ!来れたの?』

『ええ、一樹くんたちとひまりが、明るい道を作ってくれたからね。とは言っても、長くは無理よ。ひまりももう帰らないといけないわ』

『……うん。分かってる』


ひまりがママに抱きついて話をしているのを、ひまりパパは呆然と見ている。


『やっと顔が見られたわ、壮介』

「美、緒……」


美緒さんが壮介さんに近付き、頬をそっと撫でる。


「美……俺、は……」

『うん、自分でも分かったわね?ダメダメだって分かったわね?!』


う、うん?!こっちの女神も厳しいな?血筋?血筋なの?


「……はい」

『はい、じゃないわよ!まあね?最愛の私がいなくなってしまったのだから、落ち込むのはしかたないわ?けれど、いつまでもいつまでもはいただけないわ!』

「……うん」

『……私だって、自分の病弱さを恨みもしたし、壮介には悲しい思いをさせたってわかってるの。私にもずっと罪悪感を持たせたかった?』

「そ!う、いうつもりは……すまん」

『私は出来がいいから魂の質が上がっちゃって、ただでさえでも現世に来づらいのに、さらにひどい波長にしてさあ。拒否されている気分だったわ。

そんなあなたを心配して、ひまりは上がって来ないし。それもそろそろ限界だったけど』


美緒さんて、見た目と違ってすごくサバサバなんだなあ、美人が怒ると本当に怖いんだなあとか、また意識を飛ばしていたら、美緒さんが急にこちらを振り返り、ちょっと驚く。


『ひまりも言っていたけど、本当に本当に、一樹くんたち兄弟のお蔭なの。あなたたちは、すごいわ。自分たちが今とても大変なのに、やさぐれずに』

「いやいや、俺は結構やさぐれて……」


心の中で神様に文句も言ったし、闇バイトだって考えた。それを止めてくれたのは。


「ひまりに会えて。弟たちに尻を叩かれて。ようやくですよ」


俺がそう答えると、美緒さんはひまりを抱きながら、優しく首を横に振る。神々しい微笑みを浮かべて。


『いいえ。貴方達のように、自分が大変な時に他人に手を伸ばすのって、なかなか難しいことなのよ。それを当然と思っている貴方達だから……オーラがとても輝いていて、魔を払ってくれた。この家に、光が戻る道しるべを作ってくれたのよ。ありがとう』

『そうだよ!お兄ちゃんがキレイだったから、声をかけたのよ!たくさん、たくさんありがとう!優兄ちゃんも翔兄ちゃんも、ありがとう!楽しかったよ。ひまわり、ちゃんと大事にするから』


「美緒さん……ひまり……」

「びまりちゃ~ん!」

「僕たちこそ、楽しかったよ!ひまり!」


二人の体が、だんだんと光の粒になっていく。


『そうだわ、それと。貴方たちのお母様を連れてこられなくてごめんなさい。彼女は、まだ眠っているような段階なのよ』

「そう、なんですね。あの、でも、もし会ってもらえるのならば、こっちはちゃんと頑張るからと伝えていただけますか」

「「僕たちも、ちゃんと兄ちゃんを支えるから大丈夫って、お願いします!」」

『ええ。きちんと伝えるわ』


美緒さんは、俺たちを眩しそうに見つめた後、最後になるであろう壮介さんに視線を送る。


『壮介。この子たちをよろしくね。向こうで会えるのを楽しみにしているんだから』

「ああ、ああ。もちろんだ、美緒……」

『頼くんも、今まで苦労をかけたわね。……これで安心して結婚できるんじゃないかしら?』

「えっ、あの、それは……はい。ありがとう……ございます」


頼さんの慌てぶりに、美緒さんとひまりが楽しそうに笑う。壮介さんは……固まっていた。いろいろ思う所があるのだろう、主に反省だろうが。


『頼くん、パパをよろしくね!関じぃにもありがとうって伝えてね!じゃあ、またね!みんな!』


そう言って、可愛い生意気天使と厳しくて美しい女神様は、空へと帰って行った。



何だか、まだ夢見心地だけれど。


俺たちの任務も、終了だ。……良かった。


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