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15.仲直り

ひまりの姿は、光に包まれるように輝いていた。


そして、飛び込むようにパパに抱きつく。


その微笑みも、本当に天使のようで……って、あれ?


『こっ……の!バカちんパパが~~~!!!』

「ひ、ひまり、不思議と苦しいぞ?」


感動の再会かと思いきや、ひまりはパパにヘッドロックをかけている。改めて、物理的に触れられるのすごいな。そういえば、ひまりは折り紙も折れてたなとか、思わず思考が遠くへ飛ぶ。


「ひまり、ひまり、どうどう」

「仲直りじゃなかったの?」

「見事な技だけどな」


俺たちの声かけで、ハッ、と腕を離すひまり。


『つい、気持ちが高ぶって……。ここまでありがとう、お兄ちゃんたち。お兄ちゃんたちがいなかったら、ここへたどり着けなかった』

「……彼らが?」


ひまりの言葉に親父さんが首を傾げると、ひまりはジト目で親父さんを見やる。


『パパが、どよどよウジウジしすぎてるからでしょうがー!!負の気持ちは、良くないものを寄せ付けるの!このお屋敷周り、負のオーラが強すぎて近寄れなかったんだから!ママも私も、どれだけ心配したと思ってるのよ!!』

「ひまり……」

『全部自分のせいだと思ってるんでしょ?そんな訳ないじゃない!パパは神様なんかじゃないんだから!誰のせいでもないんだから!パパは、もっと自分を大事にしてよぉ!じゃないと、向こうに行っても会えなくなっちゃう。大嫌いって言ってごめんなさい。パパ大好きなの』


一気に捲し立てて、わあああん!と、ひまりは盛大に泣き出した。

親父さんはどうしていいか分からないらしく、オロオロしている。不器用なんだろうなあ。


「……抱きしめてあげたらいいと思いますよ」


ここはちょっとお節介を焼いてみる。四人兄妹の長男から、不器用パパへのエールだ。

ひまりパパは不安そうに俺を見て、とまどいながらもひまりに手を伸ばし、そっと抱きしめた。


「パパもごめん、ごめんな、ひまり。約束を守れなくて。怖くて、ひまりからも逃げてた。ごめん。パパもひまりが大好きだよ」

『パパぁ……』


ひまりの泣き笑いの顔が、本当に幸せそうで、思わずもらい泣きをしそうになる。「びまりぢゃん、よがった~!」と、優真はしっかりともらい泣きしているが。翔真も、ほっとした笑顔を浮かべている。


「坊っちゃん方、この度はお世話になりました」


うんうんとその光景を眺めていると、秘書さんらしき人に横から声を掛けられた。


「えっ、ぼ、坊っちゃん?」

「改めまして、社長秘書の森山頼と申します」

「ご、ご丁寧にありがとうございます!川村一樹です。こっちは弟の優真と翔真です」


慌てて三人で頭を下げる。

ひまりパパと同じ森山さんてことは、身内だったりするのかな。


「このお礼は必ず致しますので……」

「い、いやいやいや!そんなお構い無く!大したことはしていないので……!」

『大したことあるわよ。ありがとう、一樹くんたち』


「え……?」


優しい声に振り返ると、とても綺麗な女性が立っていた。

この雰囲気は、誰かに……。


「お、奥様?!」


頼さんが、目を見開いて叫んだ。普段は冷静そうだけど……って、奥様?


「奥様、ってことは……」


『ええ。森山美緒。ひまりの母よ』


亡くなった、ひまりのママだ。




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