第七話 王女?
「ふっふっふ……ついに第十階層迄やって来たわよでんがな。後は強行突破あるのみですわよでんがな」
「スイマセン、姫様……ここはふざけずにガチで気を付けてください」
「ボスラッシュならぬ敵ラッシュ……これは正直に連戦するやり方では到底突破出来ますまい」
階段を降りてきた六人組は、中心となる軽装の女性を中心にして石のベンチに座り込んだ。会議をしているようにも見えるが、実際は変な口調の女性を諌める会といった所だった。
「地下九階でデロデロになってた連中と組んだ方が良いのでは?」
「引き返してドラゴン共を狩って、レベリングするでゴザル」
「……歓楽街に行きたい」
一通り皆が言いたい事を漏らしたタイミングを見て軽装の女性は胸を張って命令を下した。
「突撃ですわよでんがな!」
ビシッと指差す方向は幾重と折り重なる玄室群への扉……通称デスロード。
「「はぁ」」
重なる溜息。
残りの五人組が頭を抱えた。
「お願いしますから安全を取ってください姫様……ロストとかしたら我々一族連座して打首になっちゃいますよ」
「我々の戦力では突破出来ますまい」
「デロデロがダメなら幻想の岸辺でウロウロしてる奴を囮にしてですね……」
「死ぬでゴザル」
「歓楽街に全てがあると言うのに」
軽装の女性はその全ての進言を無視するようにズンズンと歩き始めた。その目は好奇心に爛々と輝いており、何が何でも迷宮を踏破すると言う目標が溢れ出していた。
「「はぁ……」」
その様子を見た五人組はそれぞれの武器を持って立ち上がった。
「もう勘弁して欲しいです」
「どの道我々にはお供する以外あるまい」
「デロデロもウロウロも駄目ならワレワレが頑張るしかないじゃないですか」
「死ぬでゴザル」
「歓楽街はソロで行くか……生き残ったら……」
重々しい玄室の扉が開くと、異形の魔物達が一斉に振り返った。
「さぁ、作戦はガンガンいきますでんがな!」
飛び出した人影の武器と魔物の爪が交差して激しい音をたてる。
ーー激戦の始まりだった。
各々が好き勝手に地下十階。幻想の岸辺を突破している冒険者の数は割と多い。そんなお話……。