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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

LINE告白してきた奴が実はストーカーだった件

呼び出し

作者: 米田

元交際相手に呼び出された


ストーカーであったことが発覚したために別れた奴だ


今もしつこくLINEをしてくる


大抵こちらが無視できない用事を作って話しかけてくるが、会話を進めるうちに奴の正当性だったり、こんなに変わったんだという主張になっていた


連絡をやめるよう言うとすぐに分かったと良い返事をするが、良いのは返事ばかりで、しばらく間を開けてまたLINEを送ってくる陰湿な男だった


奴はちゃんと話し合いたいと言った


悩んだが、対面なら本当に嫌がっているのが伝わるだろうか、と了承した


そうして人目のない中庭についた。中庭には、感覚を開けていくつかのベンチが並んでいた。私は奴の座るベンチとは別のベンチに座った。


奴は一向に喋りださない


仕方がないので、私から、「もう付き合うつもりはない。つきまとうのをやめて」と話を切り出した


「分かった」という返事は帰ってくるが、どうにも中身がない


LINEでのやり取りと何ら変わりはなかった


分かったと言うなら本当にやめてほしいものだ


しかし、分かったと言うならもう私には信じることしかできなかった


もう帰っていいだろうか?


全然話し合いなどできてはいないが、今は穏やかに終わるほうがいい


ああ、来なければよかった


やはりその後も付きまといは続いた




別の日のこと


また奴に呼び出された。


「僕が君のことどう思っているかわかる?」


と聞かれたので、


「嫌いなんでしょ」


と答えた。好きだったらつきまといなんて嫌がらせ、できるわけ無いと思っていたからだった


奴は、ひゅっと息を呑んで黙りこくった


図星だったようだ


嫌っているからストーカーではないとでも言いたかったのだろうか?付きまといには変わりないのに。



しかし、何故突然、嫌いだなんて主張を言い出したのだろう。


直接的に怒られたりしない限り自分のやっていることが悪いことだと分からず、指摘されると激しく正当性の主張をするのが奴の特徴で、そのせいで随分嫌な目にあったのに


最近はそんなに目立ったことはなかったはずだ


私が背後に奴を見つけるたびに、怯えたためだろうか?


そんなの、いつもニヤニヤしてるだけなのに?


外部要因、外部要因…と思考を巡らすうちに、ある事を思い出した。


そういえば、私のことを嫌っている女の子が、私が奴を振り回しているという噂を立てていたのだった


最近その子のグループと奴の距離が近いと思っていたら、そういう事かと気づく


告白さえLINEで、基本的にLINE弁慶の奴が呼び出しなんて行動をとったのは、他の人の考えなのか


さっきのセリフも、あの子達の入れ知恵なのだろうかとつらつら考えた


憶測でしかないが


だが、違和感が晴れて少しスッキリした気分だった


本当に嫌だからやめてと言っているのだけど、あの子達はこの恐怖を知らないし、そんな都合の悪いことは知りたくないのだろう



それはそれとして、嫌われていると知ることができて気分が良くなった私は言った


「もう、互いに嫌いなんだからさ、関わらないようにしようよ。ただのクラスメートでいいじゃん。」


奴は、うぅうぅと唸った


うんうん、だね。ハイハイこれで話は終わり!



残念ながら話は終わりにならなかった


しばらく唸ったあとしびれを切らしたように奴は言った


「学校辞めて欲しいと思ってるんじゃないの。僕だったら、そういう目にあったら、相手にはいなくなってほしいと思うから。」


と言い出した


驚きすぎて目街がするようだった


"そういう目"に合わせているのは自分であるにも関わらずよくそんなことが言えたものだ


私は唖然としたが、頑張って気を取り戻して言った


「私は学校やめてほしいなんて思ってないよ。ジロジロ見てくるのとか、LINEをしつこく送ってくるのをやめてって言ってるんよ。」


そう言うと、しばし黙った後、俯いて頭をぐるりと揺らしながら、奴ははこう言ってきた


「うん、分かった。ありがとう。でも、見るのとかはやめられない。かつて好きだった人だから...。」


自分に酔ったような口調に、思わず笑いと吐き気が同時にこみ上げる。


何のドラマのセリフだろうか?こういう、自分の言葉で話さないところが大嫌いだ


もう、誰か助けてほしいと願ったが、誰も巻き込まないようにしていたために、相談できる相手もいなかった。ここに私の味方は私一人だった。


どうにもできないまま、実家暮らしの奴のバスの時間が来たので話は切り上げとなった



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