カルテ01
「幼稚園児みたいだな」
看護師国家試験を終え、ひさしぶりに彼とのデートで、わたしのテンションの高さに、優しい彼はわたしのことをそう表現し笑っている。
「幼稚園児って!」
「乳児の方が良かったか?」
看護学生のわたしに言う言葉じゃないと思うけど、2歳年上の彼はわたしがまだまだ知らない社会を知っている大人だと思っているので、何も言えず彼を睨むことしかできないでいる。そんなわたしに一撃を与える彼。
「国家試験に落ちたら看護師にはなれないんだろ?」
「うっ……」
彼は笑って、わたしの手をとった。
「萌がいつも頑張ってるの知ってるから。大丈夫だよ。意地悪を言ってごめん」
彼がわたしに向かい笑顔で告げる。
「立派な看護師になれ」
驚いて顔をあげると優しい彼の顔があった。そして急に彼が真面目な顔になった。
普段あまりわたしに見せない緊張した面持ち。もしかしたらプロポーズされるんだな。なんて勝手な期待。しかし、彼の口から出た言葉は意外な言葉だった。
看護師国家試験を無事合格して看護師になり必死に働いて、あっという間に4年という時が流れて看護師として一人で何でもこなせるようになっていた。