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OSHO禅タロットカード~~ その6

彼女はゆっくりと話し出した。

「チコが死んでから、毎日が虚しくて、、何のために生きているのか分からなくなる程です。お休みの日も、家にいたら余計にチコの事を思い出して、辛くなるのに、、分かっていても、、でも、結局、出掛ける気にはなれず、ただぼんやりと家にいます。何かしなければいけないと思うんですが、、ふと気付くとチコの事を考えて泣いてばかりです。」


「本当に辛いですよね。分かります。でも、あなたの本当の悲しみ、その原因は、ペットのチコちゃんが亡くなった事では無いのじゃありませんか?あの、ちょっとお聞きしますが、もし間違っていたらごめんなさい。あなたの過去に、ち、」っとそこで彼女が私の言葉を遮った。


「もしかして、さっきのタロットカードで私の事が分かったんですか?過去が見えると仰ってましたが、、。」


「過去はカードに聞きました。そして、少し前あなたが泣いていた時、あなたの後ろにとてもあなたに似た女性の姿が見えました。その方がちこさんですか?」

私は思い切って一気に言い放った。


「ど、どうしてそれを? どうして、そ、そんな、。」


相当に動揺している。タロットカードを見た時、ある程度の予測はしていたのではないだろうか?だが、それを遥かに超えてしまったのだろう。

彼女は大きく目を見張り、口も軽く開けたまま、そのまま何も言えずにいる。


「また驚かせてしまった様ですね、ごめんなさい。でも、私は純粋にあなたの悲しみを取り除きたいだけなんです、分かっていただけますか?」


「でも、、あの、、、。」


「ちこさんは、あなたのお姉さん?それとも妹さん?かしら」


まだ動揺は収まっていないかに見えたが、それでも彼女は答えてくれた。


「、、私の双子の姉です、名前は千恵子、ちえこです。」


「もうお亡くなりになっているんですね?」


「10年前になります、、私が、私が姉を殺したんです、、。」


「あなたが?それって一体どういう事ですか?」


彼女は、ふ~っと大きく一つ息を吐いた。そして話を始めた。


「10年前の事になります。姉と私は二人で一緒に運転免許を取りました。そして父の車を借りて一緒にドライブに出掛けたんです。その時はとにかく運転がしたくてしたくて、、いつも二人で交代で運転してました。そして、その日は、、景色の良い海沿いの道をひたすら走りました。いつもの様にお喋りしながら、沢山笑って、、その帰り道の事です。すっかり辺りは暗くなってしまって、、、姉は何処かに泊まっていこうって言ったんです、、このまま運転したら危ないって、、。でもそれを私が帰りたいって、私が運転するから大丈夫だからと、姉の言う事を聞かずに、、そしてやはり、夜道での運転はまだ無理でした。結局、見通しの悪いカーブでハンドルを切り損ね、、そして、、大きな松の木に衝突しました。私の怪我は大した事無かったのですが、助手席にいた姉は、、救急車で病院に運ばれましたが、、、1時間後に死亡しました。全部、、私のせいです、私が姉を殺した、殺したんです。きっと姉は私を許してくれないと思います。」


話を終えた彼女は目から大粒の涙をこぼした。


「辛いお話をさせてしまって、本当にごめんなさい。でも、でもね、、あなたは大きな勘違いしてます。お姉さんは初めからあなたを許しているし、それどころか、あなたの事をとっても心配しているんですよ。だから時々あなたの様子を見に来ている、、。もうお姉さんを安心させてあげませんか?

ペットのチコちゃん、お姉さんの身代わりでしたよね?違いますか??」


「はい、、。」


私はタロットカードからのアドバイスを彼女に説明した。※後編(中)参照


彼女は私の話を、何度も頷きながら静かに聞いていた。そして全てが済んだ時、、


「本当にそう思って良いのでしょうか?姉は本当に私に幸せになって欲しいと思っているんでしょうか?」


私は軽く笑って、


「勿論です、あなたがいつも笑っている事が、お姉さんの幸せでもあるんですから!」


「有難うございます。私、姉が亡くなってからはずっと、私は幸せになっちゃいけないと思って生きてきました。でも、姉がそんな風に思っていてくれたなんて、、それどころか本当に私を心配していてくれたなんて、、。」


そう言いながら、また彼女は涙を流した。


「今の涙は、さっきまでの涙とは違いますよね?そう思って良いですか?」


初めて彼女の表情が緩んだ、、そして微笑む。


「話を聞いて頂いて、本当に有難うございました。これからはちゃんと前を向いて歩いていけそうです。ちょうど明日はお休みなので、姉とチコのお墓参りに行ってきます!」


「少しお手伝いが出来たようで良かった。お姉さんとチコちゃんに宜しく伝えてくださいね!」


「はい!」



これで彼女と私の話は終わりになるが、、


翌朝チェックアウトの時、彼女は既に仕事を終えて帰宅していた。けれどフロントスタッフに、彼女からの心温まる礼状を渡された。


今日から彼女の新しい人生が始まる。私はただ彼女の幸多からん事を祈るばかりだ。




                        了









最後までお読みいただき、本当に有難うございます。

尚、この作品は数日で仕上げた物で、至らない部分が多々ありますので、何か気付いた事がありましたら、是非お知らせください。今後の参考にさせていただきます。


OHO禅タロットシリーズはまだ続きますが、次回作まで~10日間程お休みを頂きます。

暫くお待ちくださいね!

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