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OSHO禅タロットカード~~その3

 駐車場に車を停めて、早速ホテルに入っていった。正面にフロントデスクが見える。そこへ向かいながらロビーを見渡すと、ビジネスマンらしい2人連れが笑いながら珈琲を飲んでいる。商談が上手くいったのであろうか。


「おかえりなさいませ」

フロントレディが丁寧にお辞儀をして迎えてくれる。


「予約はしていないのですが、今夜泊まれますか?」


「はい、ツインのお部屋で宜しければご用意出来ます。幸いひと部屋キャンセルがございまして。」


「それで結構です。よろしくお願いします。」


「では、こちらにご記入お願いします。お客様のお部屋は701号室になります。」

そう言って、宿泊者カードと鍵を渡された。


私は必要事項を記入し、鍵を受け取ってエレベーターへと向かった。


っとその時だった。 誰かの泣き声が聞こえた。びっくりして辺りを見回すが誰もいない。でも確かにはっきりと女性のすすり泣く声を聞いたのだった。

「えっ!?」 つい声を出してしまう。


「お客様~どうかされましたか?」 後方からフロントレディが声を掛けてくれた。私を心配している様子である。


「いいえ、なんでもありません、すみませんでした。」


私は少し慌て、軽く会釈を返してそのままエレベーターに乗った。


『 一体誰なんだろう~? 今心の中で泣いているのは? 間違いなくこのホテルの中にいる誰かだ。』


そこではっと気が付いた、、もしかして先程の彼女が?


気になるとそれを確かめずにはいられなくなる。


ちょうど7Fについたところだったが、直ぐにまた2Fボタンを押した。


そして~エレベーターが下りている、ほんの数十秒間に~さっき聞いたすすり泣きの声とフロントレディの声が、頭の中で完全に一致したのである。


『やっぱり彼女が泣いていたのね!何か私に出来る事があれば良いけど。』


ドアが開くのももどかしく、急いでフロントに向かった。


「お客様、どうされました?何かあったんですか?」


私は一つ大きく深呼吸をし、「あの~、、大変失礼な事をお聞きしますが、、」


「はい?何でしょうか?」


「あなたは今、、とても悲しい気持ちでいますよね? そして心の中で泣いていらっしゃいますよね!?」


私がそう言うと、彼女は今までのプロに徹した笑顔を崩し、狼狽え後退りしながら、、


「ど、どうして、、そんな事を、、? あなたはいったい?」



そうだったんだ、彼女の話を聞くためにここに導かれたのだ。

今夜は長い夜になりそうである。




                        続く




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