OSHO禅タロットカード~〜カフェにて5
私はまた一つ大きく息を吐き、そして彼女に向かい直した。
「これから、私が今分かっている限りの全てをお話しします。ただし、相手側の事情、彼のご両親のみ知り得る事実や、彼らの考えについては分かりません。ただ、私が受け取った過去の場面、伝わってきた感情などをお話しします。」
そう前置きしてから話を始めた。
「彼のご両親は、最初あなたの事をとても気に入っていた様子です。でも、結婚の話が出た後、態度が変わったんですよね?それはあなたの実のご両親の事が判ったからなのです。彼らが、どのようにそれを知り得たのかは分かりませんが、、。実は、あなたのお父様は、お酒を飲むと自分を抑えられなくなる依存症でした。それもかなり深刻な、所謂酒乱と呼ばれる人でした。
普段は真面目なのですが、一旦お酒が入ると止まらなくなり、家族にも暴力を振るう事もあった様です。私にはその場面が見えたので分かりました。」
彼女は思わず下を向いてしまった。
「このまま続けても大丈夫ですか?」
少し間があって、顔を上げてると私の目をしっかりと見た。そして、
「大丈夫です、お願いします。」はっきりと言った。
「それでは、先の話をしますね。彼のご両親とあなたのご両親の間に何が起こったのかは分かりません。でも特に彼の方のお母さまが、強い『憎しみ』を抱いていらっしゃいます。そしてその大元となる原因は、、先程も言いましたが(カフェ編4)過去生、つまりご両親が生まれる前の因縁、祖父母の代まで遡ってみないと分かりません。これについては、、直接話を聞いてみない限り、私たちが知る事は、、そうですね、難しいでしょう。」
私が話終えると、彼女は深いため息をついた。そして、
「あの、、それを彼の両親に聞いてみる事は出来ますか?」
「あなたがですか?」
「いえ、、その、、図々しいのは承知で、出来たらお願い出来ないでしょうか?」
「私が?どうやって??」
「彼の家は代々続く旅館を経営しているんです。だから、もし良ければ今日そちらに泊まって頂けたらと思いまして、、。」
「あらっ、私、旅行中って話しました、、?」
「いえ、、その、何となく甘えられそうな気になってしまって、、ごめんなさい。」
私はつい軽く笑ってしまった。それにつられて、彼女も表情を和らげた。
「私達お互いに名前も聞いてなかったのね。私は、水野栞と言います。IT企業に勤めてます。そして週末だけ占い師になります。」
「私は、並木凛子と申します。どうぞよろしくお願いします。」
そう言って微笑んだ。軽く自己紹介しただけで、さっきまでの重い話が嘘の様にその場が和んだ。そしてその時には既に、私は何とか彼女の力になりたいと考え始めていた。
「その旅館、紹介してください。今日はそこに泊まりたいと思います。」
私がそう言うと、彼女は更にぱっと明るい顔になり、
「彼に連絡してきます。」と言って奥に入っていった。
果たして私に何か出来るのか?少し不安もあったが、『私の役目を果たすだけだ』そう自分に言い聞かせ、彼女が戻るのを待った。
旅館編へと続く
凛子さんの役に立ちたいと、彼の実家である旅館に泊まることになった。
果たして、どんな事実が待ち受けているのか?本当に彼女を助けられるのか?
旅館編へ続きます。