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OSHO禅タロットカード~~ 公園の人 その2

 花言葉を知って改めて「こぶし」が自分の中で新鮮な物になったのも束の間、今自分に投げられた『怒り』がどんどん大きくなるのを感じた。が、ここコンビニの駐車場全体を見回しても、全くそれを確認する事は出来なかった。けれど近くに存在しているのは間違いないのだ。何処から?そして誰が?


道路を挟んで向かい側に公園がある。もしかして、そこに?ただの予感であるが、やはり気になる。それで車をそのままにして、公園には歩いて行くことにした。そしてすぐに歩き出したが、ちょっと考えコンビニに戻り、チョコレートとペットボトルの水を買った。その水を飲みながら、片道3車線の大通りを横断する。公園の入り口はすぐ目の前だ。奥にある滑り台で子供が遊んでいるのが見える。その子が履いている、真っの赤なスカートが印象的であった。中へと入っていくと、左手には花壇があり、サクラソウが咲き始めている。同じピンクでも桜とは濃さが違い、それぞれに良さがあるものだ。中央の噴水台からは、水が放射線を描きながら降りてくる。そして右手にベンチが幾つかあり、その真ん中に一人の女性がぽつんと座っていた。間違いない、さっき感じた『怒り』はその女性から放たれている。えぐる様な、射る様な、、強い『怒り』が迫ってくる。


彼女を助けるために、今自分に出来る事を考えてみた。先ずは、何がそれ程の怒りを作ってしまったのかを聞いてみなけれならない。が、しかし、いきなり話しかけても不振に思われるだけであろうし、いやそれどころか、余計なお世話だと、むしろ全く相手にされなくなってしまう。さてどうしたものかと思っていたら、その時、小さな女の子がこちらへと走ってくることに気が付いた。5歳くらいであろうか?真っ赤なスカートを履いている。さっき滑り台で遊んでいた子であろう。するとその子は私の前を勢いよく走って通り過ぎていった。まっしぐらに『怒り』の彼女へと向かっていく。もしかしてその子の母親?

すると、足がもつれたのであろう、前につんのめるように転んでしまった。私は反射的に走ってその子へ向かう。その子は転んだまま起き上がろうともせずに、ただ大声をあげて泣いている。私はその子を抱き上げ、「大丈夫よ、痛くない、痛くないよね~。あ、そうだ、お姉さんね、チョコレート持ってるの、一緒に食べようか?」そう言って笑いかけると、一旦泣くのを止め、しゃくりあげながら私の顔を見た。と、その時、『怒り』の彼女がやってきた。「よそ見してるから転ぶんでしょ。』と冷たく言い捨てた。私はびっくりして、つい、「お子さんの事ですから、慌てて転ぶことありますよね?」と言ってしまった。すると彼女は、きっとした目で私を見ると、「あなた一体誰なんですか、関係ないでしょ!余計な事しないでください!」と言い捨てると、私からひったくる様に、その子の腕を引っ張った。そしてその子に向かって、「いつまでも泣いてるんじゃないの、帰りますよ。」と怒ったように言うと、そのまま私に背を向け、その子の腕を無理やり引っ張る様にして歩いて出口へと向かっていく。私はあっけにとられ、二人の後ろ姿をただ見ているしかなかった。


助けるどころか、むしろ怒らせただけだった。もう『怒りの彼女』とは会えないだろうと残念に思った。ところが、この暫く後に、再会する事になるとは、、この時は夢にも思わなかった。


人との出会いはいつも突然。そしてその縁が自分の人生に関り、何かを変えていく。


次の展開をお楽しみに!

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