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少年秘密警察の日常  作者: 家宇治克
アリス狂乱茶会事件
35/109

35話 確信


「ありがとうございました」


 深く礼をしてコンビニを出る。

 予想通りの回答ばかりだ。急いで署に帰らないと。

 車に乗りこんだタイミングで電話が鳴った。もちろん相手は薫。出るなり「よぉ〜」とのん気な声がした。


「何が『よぉ〜』だ。こっちは街中に車走らせて仕事してんだぞ」

『怒んなって。ジャンケンに負けたのは隼だろ?』


 ──ぐうの音も出ない。


『それよりどうだった?』

「ああ、皆口を揃えて同じことを言った。何となく能力は分かってきたな」

『そうか。こっちもスゲー情報手に入れたから早く帰ってこい。忙しくなるぞ』


 嬉々とした声が切れた。通話終了の画面にため息を吐く。

 シートベルトを締めてアクセルを踏む。青い空が高く広がっていた。


 ***


 少秘警──刑事課


 ボロボロの事務室では薫がアメを噛んで待っていた。机の上の資料を手前に出す。

「スゲー情報っていうのはこれか?」

「そうそう。零が突き止めたんだ」

 真白な表紙をめくる。


 ──確かにスゲーな。

 現れたのは今回の被害者記録と──犯罪歴。

 横領や万引き、詐欺などと様々だが全員が何らかの犯罪を犯していた。

「見たことある顔があったって、記録漁ったら案の定ってよ」

「なるほど、全員が犯罪者······これが共通点なんだな?」


 なら、気になることがある。

 チェシャ猫の目的だ。なぜ犯罪者ばかりを狙うのか。資料からは憎悪も正義感も感じない。なぜ事件を繰り返したのだろうか。


「······隼、悪ぃんだけどよ」

「は? いきなり何だ」


反転院翔マッドハッターに協力してもらってチェシャ猫を夜に呼び出した」

「はぁ!?」


 薫いきなり何を言い出すのか。窓際に寄りかかって奥の森を見つめている。薫はゆっくりと目を閉じて、再び開く。



「今日は帰れねぇから」



 窓に背を向け腰掛ける。行儀悪い、と注意出来なかった。

 薫の目はまるで鬼のようだった。窓の外の森から黒い狼煙のろしが一筋、太く空まで伸びている。


 薫は手ぶらで帰る気はない──


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