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地下アイドルの苦悩

作者: チャンドラ
掲載日:2018/01/14

「ずっきゅん! ずっきゅん! あなたにずっきゅん!」

 頑張って私は声を出した。

「ずっきゅん! ずっきゅん! ずっきゅん!」

 目の前にいるファン(キモオタたち)は、よくわからない踊りをしている。

「あなたに〜」

「あなたに〜」

 他のメンバーがフィニッシュの前置きをした。

「あなたにずっきゅーん恋してる!」

 そして、私がフィニッシュを決めた。

「奏衣ちゃーん! 可愛いよ! 可愛い!」

 説明しよう!奏衣ちゃんとは私のことである。改めて紹介しよう。私の名前は伊藤奏衣いとうかなえ。職業は地下アイドル。

 年齢は二十。高校を卒業してから、地下アイドルをしている。容姿は長髪の茶髪で割と可愛いと思っているが、大物アイドルには劣ると思う。割と可愛いくらいじゃやってけぇねよなぁ。むしろここまで来たのが奇跡か。


「みんなー! 今日はスリーガールズのライブに来てくれてありがとう!」

 みんなつっても15人くらいしかいねぇけどな。やべぇよな。この有様。

「今日は、握手会もするから、ぜひ参加していってね!」

 こいつの名前は秋元藍子あきもとあいこ。確か私より一つ下である。名字的に某大物アイドルグループのプロデューサーと繋がっていそうだが、全く繋がりは皆無である。

 金髪でツインテールといういかにもオタク受けを狙ったかのような容貌をしているが、容姿は普通の学校のクラスに一人か二人はいそうなくらいの可愛さだと思う。


「写真も一緒に撮れるから、ぜひ、撮っていってね!」

 写真を撮るように促したのがこいつは渡辺麻依わたばべまい。年齢は23でこのグループで最年長である。顔はそこそこ、胸も大きのだが髪がピンクである。二次元キャラならよくあるが、その色はリアルじゃ痛くねぇか。

 

「それじゃ、一緒にとりますよ〜! はい、チーズ!」

 声をめっちゃ可愛くして、ファンの人と写真を撮った。

 しかし、こいつ汗くせぇな。ライブ中、たくさん踊ったのか。聞くほうに徹しようぜ。


 ライブが終わり、楽屋に戻った。

「あ〜! もう私、疲れたなぁ。」

 麻依はおっさんのような声を出して言った。ってかもう年なんだろうな。こいつ。

「ってか、最近さぁ、ファンの人減ったくない?」

 最近の状況を藍子が珍しく嘆いた。いつもはライブが終わるとすぐにソシャゲのガチャを回し出すのに。

「多分、JKシスターズのせいでしょ。」

 JKシスターズとは、メンバーが全員、現役の女子高生のグループである。

 妹キャラを演じて観客を楽しませるという志向らしい。

 私にもよくわからないが、妹キャラというのはいつの時代も愛されるらしい。確かにラノベとかで、姉キャラがでることは少ないもんなぁ。大抵妹キャラが活躍している気がする。


 コンコンとノックが聞こえた。

「どーぞ。」

 そう言うと、私たちのマネージャーが楽屋に入ってきた。

「いやー! みんなお疲れ様! いいライブだったよ! 観客もすごい盛り上がってたし。」

 そうかもしれないが、お客さんの数、15人くらいだぞ。

 私が中学校だった頃の合唱コンクール(平日にやった)ですら、もう少し来たぞ。

「塩谷さん、最近、お客さんの数少なくない?」

 麻依がマネージャーに対して苦言を呈した。いいぞ、もっと言え。言ったところで対して現状を変えるのは難しいのかもしれないが。

「うーん。やっぱりJKシスターズの影響が強いよね......なんとか新曲を出しなりして、少しづつファンを獲得していくしかないかな。」


 お前の作る曲、クソじゃねぇか。大体、なんなんだ、ずっきゅーんってもっとマシな曲にできないのか。

 ずっきゅーんじゃなくて、ドッタンバッタン大騒ぎ! みたいな曲作れよ。


「しかし、それだけではダメだと思います。何か新しい手を打たないと。」

「私も麻依の意見に賛成です。このままではまずい気がします。新しい策を考えましょう。」

 かれこれ二年はアイドルをしたのだ。何とかアイドル活動を続けていきたい。

 余談だが、今月の給料は6万円である。普通にバイトをしても稼げる額である。


「うーん、つってもなぁ......例えば、流行に乗っかるとか?」

「流行.......ですか......?」

 よくわからないが、髪型などの流行ものに変えるとかだろうか。

「例えば、流行っているアニメに乗っかって、そのセリフを言ってみるとか! 私のことどれくらい好き? って聞いてみたり、いっぱいちゅき〜って返してくれると思うだ。それで話題になったり。」

 しばくぞ。そんな、アホみたいな作戦でうまくいくわけねぇだろ。

「ああ! いいですね! それ! あなたにドロップ! ドロップ! とか言ったりして!」

 おい、藍子さんよぉ。賛同してるんじゃねぇよ。

 そういえば、藍子はアニメ好きだったな。私もそれなりに見るが。

「だよね! それで行ってみようか!」

「ま、待ってください! それは、ちょっと著作権的にもまずいでしょ! それよりも、新しい企画を考えるとかはどうでしょう!」

 無難な提案をしてみた。

「じゃんけん大会とか?」

 だから、パクってんじゃねぇよ! そもそも三人しかメンバーいねぇだろうが。お客さんにも参加してもらうってことか。

「じゃんけんじゃなくても、観客にゲームに参加してもらうってのはありかもしれないですね。」

 麻依がまともな提案をしてくれた。すまん、麻依さん。あなたはまともな人でした。尊敬します。

 さすが、年上。


「新しいメンバーを入れるってのはどうですか?」

 藍子が提案した。しかし、うちにもうそんな金はないんじゃ。

「うーん、ちょっと予算が厳しいかな......」

 やっぱりな。

「とりあえず、僕の方も企画考えるから、待っててよ。みんなは次のライブに集中して。明日、新曲持ってくるから明日の九時に練習場に来てね。」

「分かりました。」



 そして、次の日。

「これが、新しい新曲だよ!」

 歌詞を見てみた。

 ーー星の数ほどいる地下ドルだけど〜

 あれ、うん?

 ーー私、バクバク! 私、ずっきゅーん!

 そうかそうか、なるほど。


「これ! ポプテピ◯ックのパクリじゃねーか!」

 私は思わず大声で叫んだ。

 もう、私、別のアイドルグループに移籍しようかな......


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