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私は、暗闇の中を1人、裸足で歩いていた。
着ているものは、下着と薄手のパジャマのみ。夏だというのに凍えるような寒さに襲われ、何か羽織ってくるべきだったかな──とちらりと思う。
しかし、私がここを歩いている理由を考えれば、たかが上着1枚のためだけに戻るのは現実的ではなかった。何より、目的地に辿り着いてしまえば寒くはなくなる、かもしれない。
足を滑らせたら死んでしまいそうな急な階段を下り終え、長い通路を直進する。5分ほども歩いていくと、右手に物々しい鉄扉が現れた。
扉を施錠している南京錠に持ってきた鍵を差し込み、音を立てないようゆっくりと回す。カシャン、と小さな音が鳴ると、私は、扉を開けてその中に滑り込んだ。
2畳半くらいのスペースに、ぼろいスチールデスクと丸椅子、錆びたパイプベッドが所狭しと並べてある。扉の反対側の小窓には鉄格子──留置場を想起させるような、何度見ても嫌な空間だ。




