95/1226
志村恭介編 ニ尾城
高村の顔が歪んだ。品川が沈黙を破り、
「先生!もう、これ以上の追求は良いじゃないですか。彼女には関係ない事です」
志村が厳しく言い返す。
「関係あるのか、無いのかは、調査の最中だよ、品川君。君は自分の心情でものを言っている。学者はどんな時にも冷静な判断が求められる。私見を交えてはならない。この真実を明らかにする前に論じる君は、既に学者では無い!」
品川が泣きそうな顔になって項垂れた。高村も下を向いた。志村が更に追求を続ける。
「真世さん、私が聞きたいのは事実だけです。一体貴女はどこで例の古書と、紅水晶を予知しましたか?その発見こそが、貴女が西方城の縁もしくは末裔として、脇坂博士、高村先輩と繋がったんですよね?」
高村が驚いたように顔を上げたが、真世が答えた。




