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志村恭介編 ニ尾城
「私の両親の事は、お義父さんからも聞いたと思いますので、そちらは省きますが、小さい頃から良く見る夢があるんです。この地には2つのお城があって、双子の姫様が居ました。しかし、双子を忌み嫌う風習で、一方の姫は幽閉されてしまいます。その夢の中で、2つの物が埋まっている場所があります。その1つが脇坂博士に渡った古い書物で、もう1つはまだ発掘されていません」
「・・?」
志村と品川が斎藤真世を見る。彼女はその白い首から、外したネックレスを見せた。
「ほう・・それは?」
志村と品川がネックレスを覗き込んだ。高村が言った。
「そのネックレスは紅水晶で出来ている。ただし、普通の水晶では無い。そのネックレスで、セラミック製の包丁が紙のように切れるんだ」
「高村先輩・・何故この娘が?それに何故先輩が?」




