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志村恭介編 古城
「あっ!困るじゃ無いですか!コウアンさん!ノックもせずに研究室に入って来ちゃ!」
一瞬びくっとなって、岸上は立ち止まった。
「おお・・びっくりした。ほんっとに品川君のでか声は何を食ったら出るのか、一度解剖の価値があるねえ」
「何の用ですか!」
睨みながら品川が聞く。岸上がこの研究室へ入って来る時は、いつも何かを物色しているようで、それだけでも嫌悪している上に、一言一言が品川には腹が立つ。全くそれは異種な性格から来るようなものかも知れない。
「君はいつも喧嘩腰だねえ・・。今日は午後から教授会が開かれるんで、その報告に来たんだよ。ところで、志村君がここに居ないなんて、珍しい事があるもんだ」
そう言いながら、更に研究室の奥まで進もうとする岸上に、両手を広げて品川は制した。