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志村恭介編 古城
「先生!余りの待遇に少し気負しましたね」
「ああ、あんな女将だったら、誰だってコロっと参るよ。それにしても気を遣われる事がこれ程苦痛とは、思わなかったなあ」
「それと、ご主人である高村先輩はどうですか?何かヒントがありましたか?」
志村は黙って首を振った。又二人の研究は、振り出しに戻っていた。大勢の学者が西方城に集まって、研究済み。果たして調べる余地があるのだろうか・・?
「我々は今、2つの鉱物を手にしている。1つは滑石、1つは紅水晶。これらの物証から何が探れるのかだけでは、どうにも心許ない」
「そうですね、結局四国から岡山に来た意味がありませんね」
脇坂の言う本当の意味とは何だろうか・・志村は考えていた。そこで明朝になった志村達は、西方城から南西の方角に当たる小高い山の斜面を調べていて、数個の少し気になる岩石を見つけ、そのまま都屋新館の高村の所に持参したのである。品川は別行動で、西方城址の発掘品を展示してある、町営資料館へ向かった。
「・・・ふーーーん、これは珍しい・・どこで拾った?」
高村が一瞬考えるような仕草をしたが、言葉を続けた。
「この石はなあ、この辺の地層では無い石なんだ」




