志村恭介編 古城
「ええ質問じゃ。エクトプラズマは地球に衝突の際に、気の遠くなるような分裂をした。その為に、それぞれの意志の統一が計れんのじゃ。それ故に我々人間に同じ考えを持つ者が居らん、少ないと言う事じゃ。消耗した生命体は、次にはより高度なものに生まれ変る為に、滅びが必ずある。中には進化を早めようと過激な行動に出るものもある。戦争などを起こして一挙に進化を早めようとする試みとかな」
「ははあ・・すると過去のヒットラーとか、ナポレオンとか、その他の英雄達にもその意志が行動を起こしたと・・?」
「左様。そして、その場には、生まれ変わった天才達に更なる能力を与える為に、人為的手術を行う者達が登場する訳だ」
その話になって志村が飛び起きた。
「その話・・詳しく聞きたい」
「ふ・・」
突然話に興味を示した志村に、脇坂はにやっとした。
「志村、お主の理論が色々な学説がある中で、唯一わしと同じ所へ到達している事に、正直驚いた。西方城での出来事もあるが、以前にお前は敦盛でもわしと同じ視点を持っていた。わしの60年にも渡る研究の中で、自分が未発表で育んで来たものを、お前はその年で既に道筋をつけとる。更に、敦盛では、俵にもかなりの研究資料を提供されたと聞く。だから古書を渡した。お前がここへ乗り込んで来るのは明らかだったからのう」




