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志村恭介編 古城
真っ赤の顔になって怒鳴る脇坂に志村は、
「冗談じゃない。泥棒は博士の方だ。禁断の紅水晶はこの村の守り神だったのに」
激怒していた脇坂のトーンが、急に落ちた。
「そうか・・。修作から、それも聞いたのか」
「山田村長はね、博士が自分の恩人だと思えばこそ、禁断の沢から紅水晶を盗ると言う盗人の片棒を担いだんです。紅水晶を博士の所から盗んだのも、再び博士に汚名を着せないが為ですよ。貴方が美談のように彼との事を語りながら、その実がそんなものだったとは大学者が聞いて呆れますよ」
予想外のきつい言葉が志村から脇坂へ投げられた。品川が今まで見た事も無い志村の表情にどきっとした。
「分かった・・分かったわい・・話そう」
脇坂の話は長かった。




