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志村恭介編 古城
「はい。正気です。しかし、普通の水晶ではありません。赤い水晶です。燃えるように赤い」
ぎくっとした表情で脇坂は志村を見た。
「・・お前、どうしてその水晶を・・?」
「私の勘です」
「嘘をつけ!当てずっぽうで紅水晶を探せる訳が無いわ。誰の情報だ?まさか・・修作の・・」
言いかけて脇坂の眼光が異様に光った。
品川が驚いている。何の会話やらさっぱり分からないのだ。
「お前、昨晩修作と会うたな?こら!志村よ、紅水晶はどこにある!早う出さんかい!」
まるでやくざのように怒鳴る脇坂に品川が驚きながら、志村は、
「渡せません」
益々脇坂は怒声を発した。
「何を!修作から受け取ったのじゃろうが!くそが、やっぱりあのガキか、わしの所から紅水晶を盗りおったのは!」




