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志村恭介編 古城
「ああ、あ奴だったら、その後都屋別館の女将と一緒になったわい。目の前にぶら下がっていた商社マンの出世と、家庭を捨ててのう・・憐れな男よ。結局商社と嫁さんに見放されたんじゃ。もう少し頑張って居れば世紀の温泉大発見となるやも知れなかったのに・・のう。わはは」
「脇坂博士。僕にも質問があります。博士はどう言う目的でこの地へ戻られたんでしょうか」
品川も同じ事を考えていたようだ。志村も頷いた。
「全く・・お前達は油断のならん奴らじゃ。答える前に志村よ、昨晩はどこへ行っとった?」
志村はにやりとした。品川は、そんな事なんて知らなかったと言う顔だ。
「はは・・長年の習慣ですから、夜中に必ず一度は目を覚ますと思っていました。気付いていたんですね、やっぱり。実は水晶を探して居ました」
「こんな山中の深夜にかい。気が狂っとらんのだろうな?お主」
脇坂は真顔で言った。




