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志村恭介編 古城
少し眠くなって来た所へ木戸の音が聞こえた。開くとそこには山田村長が立っていた。志村は木戸を締めると、山田村長に手招きされるまま、すぐ近くの集会所へ行き、座っていた。
「今日は済まん事でした。脇坂先生には大変失礼な事を」
大きな体を折り曲げる山田村長に対して志村は、
「待って下さい。それより過分な食料を届けて頂き、私達の方が感謝して居ります。・・実は、今日博士から色々聞きました。どうか、お顔を」
「・・そうでしたか。まさか・・わしも貴方達が先生の知り合いとは思いもよらず、この銅山の歴史を調べに来られたとばかり思うておりましたけん」
「同じ考古学の者ですから、それは多少なりとは・・それで、もしよろしければ、山田村長さんが知り得る範囲での事を少しお聞かせ願えませんか?研究とは全く関係無い話には思えないのですが」
「そうですか・・まあ、貴方達のような若い学者さんには直接関係無い話かも知れませんが、わしの知っている範囲での事を少しお話しましょう」




