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SF白い雲  作者: 白木
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志村恭介編 古城

「だが、その事が修作を立ち直らせるきっかけにはなったようじゃ。毎夜歩きながら、わしはこの村の歴史、地理、人情、岩石分布、植物分布を一人事のように語って聞かせた。その事があってかどうか分からんが、あいつの成績はその後、村の学校でも一番となり、山田修作と言う男は、愛媛大学に入学するまでになったんじゃよ」

「ほぉ・・相当な学力を持った少年だったんですね」

「元々頭は悪う無かったんじゃ。ただ貧しい家が為に将来を見とったから、勉強は必要無いと思うとったんじゃろう」

「それじゃあ、むしろ美談じゃないですか。何故今のようなよそよそしさに繋がるのですか?」


 品川が聞いた。


「ここは小さな村じゃ。小さな出来事であっても、閉鎖的な環境故に、一度でも汚名を着せられた人間は、被害者、加害者を別にしても塗られた色はなかなか消せん。わしが教師を続けられんようになったのも、修作の父親が飲んだくれになったのもそのせいじゃ。村人が悪いんでは決してない。このわしがここへ帰って来れなんだのも、修作が暗に夜出歩くなと言いたかったのもそれじゃ。要するに、全ての元凶は、わしの素っ裸の夜の散策、忌避になっとる訳じゃ。あいつにしても、今更村人の忌まわしい過去を引き出したくは無かろうて」

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