志村恭介編 古城
「で?博士。その村長のお袋さんとその裸がどう繋がるんです?まさか博士が襲ったのじゃないでしょうね?」
「ば・・馬鹿たれ!そ、そんな事が出来るわしじゃったら、見す、見す・・」
脇坂の顔にぱっと赤みが射し、そしてその瞳には深い憂いの色が浮かんだ。志村と品川は顔を見合わせた。どうやら、冗談半分の言葉が、その過去の出来事と結びついているようだった。
ゆっくりとした口調で脇坂が喋り出した。
「・・あれは、梅雨も終わり、もうすぐ夏本番と言う蒸し暑い夜だった。いつものように、深夜を選んで山道を歩くわしの耳に、つんざく様な悲鳴が聞こえた。その声は香津子さんの声じゃった。寝苦しい夜に、近くの小川へ降りて涼んでいた香津子さんを、3人の鉱夫達が近くの山へ引きずり込み、乱暴しようと襲ったのじゃ。大声を出して、山上から駆け下るわしに恐れをなして、男供は逃げたが、素っ裸にされた香津子さんは、わしを見るなり、耳を押さえながら瞬間的に谷に身を投げたんじゃ。わしが谷へ降りて行った時には、もう既に死んで居った。夢中で村人を起こして知らせたわしに待っていたのは、当然のように犯人の疑いじゃった。修作は悪ガキでまだ小学5年生。わしは、あいつに恨まれたわい」
「しかし、犯人は捕まったのでしょう?」




