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志村恭介編 古城
宿泊所に着くと、そこには既に味噌、米、卵が山盛りに積んであった。3人はそれを横に寄せると、とりあえず、座敷に座った。
「・・・一体、この村で、博士と何があった・・のですか?確かにこれ程の食料を届けて下さる事は、歓迎の意味とも取れますが、それにしては、妙によそよそしい・・そう思いませんか?本当に接待して頂けるのなら、炊きたてのご飯を届けに来てくれる筈です。現に我々の2、3日の滞在期間はそうでした」
志村が言うと、品川も頷いた。
「まあ・・一杯でも飲りながら話をせんか?」
「ええ・・」
コップ酒を脇坂に振る舞い、志村が品川と自分にも注いだ。全員の体中がぽかぽか温まり始めた。
「・・若気の至り・・とでも言うか、わしはこの村で教師をしていた事があった」
「ほう・・そうでしたか」
志村が頷いた。




