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志村恭介編 古城
石鎚山ロープウェイより歩いて、約25分後に成就社に着いた。品川には志村の意図するものが分からなかった。自分達は観光旅行で来ているのでは無いのだ。大勢の人の奇異な目に晒されるのが、少し彼は恥ずかしかった。だが、それが、一人の人物に会う為だったと分かったのはすぐの事だった。白眉、白髪の尋常の風体では無い老人が、志村達の前に立った。品川にとっては勿論初対面の人物だ。
「博士お久しぶりです。西方城発掘以来です」
手を出す志村に対して、老人もしわがれた目の奥から懐かしそうな笑みを浮かべた。やや、腰は曲がっているが、足腰はしっかりとしていて、品川と殆ど変わらない背の高さだった。
「おお、あれからもう7、8年経つかのう。志村君はまだ学生であった」
きょとんとしている品川に志村は老人を紹介した。
「博士、この青年が私の今回の調査を手伝ってくれる品川君です。品川君、この人の名は君も知っているだろう。脇坂博士だ」




