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志村恭介編 古城
T大学の研究者が村に来たと言う事で、村中が騒いでいる中で、2人は余り大騒ぎになる前にと、早朝より寒風山の方向に向かった。桧や杉の人工林の続く中で、ブナや楓が真っ赤に紅葉して、所々の朽ちた木には万年茸が生えている。
「四国もこの辺りになると、随分様相が変わりますね」
品川がふうふう言いながら言う。無理も無い。殆ど学業にその情熱を注ぎ込んで来た青白い頭でっかちの青年にとっては、連日の山歩きは相当に身体に堪えてきつい行程であろう。志村は大学時代に山岳部に在籍した事もあるし、由利と知り合った高校時代は、サッカー部で汗を流していたスポーツマンでもあった。
「少し休もうか」
狭い林道の中に横たわる倒木に腰かけるように、志村は品川の肩をポンと叩いた。
「先生・・この山奥で、一体古代人はどう言う生活をしていたのでしょうか」
「その生活手段、植物分布、或いは、私には知識不足だが鉱物分布・・それらから手掛かりを得る事が第一歩。きっと何かが語りかけて来ると思うんだ」
「すると、まだ原始的な時代に、超医学を駆使する人達が居た事の証明に結びつくのですね?」




