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志村恭介編 古城
聞くともなく語る老婆は、少々耳が遠いようだが、呆けては居ないようだ。2人は急いで赤星山の山頂を再び目指した。
「先生!赤い光とは隕石でしょうか?それとも・・」
「分からん。しかし、隕石説は充分考えられるが、でも、私はもっと違うものだと・・」
「それは・・何でしょうか?」
志村は、首を横に振るだけで、後はもう何も言わなかった。
品川は、彼なりの仮説を立てていた。太古の歴史が唯1つの事象だけで説明がつく筈は無い。まして志村の追求しようとする史実は、歴史上から抹殺されて来た忌まわしい事に触れる可能性もある。・・まして、そう言う書物が時の権力に触れずに残って居た可能性・・とても信じ難いものでもある。日本各地に残る民話、寓話が、人々の想像上の産物だとしても、そこには必ず土地柄的事情とか、民情が隠されていて、それは或いは一家団欒の為なのかも知れないし、子守りや教育手段かも知れないーーと。一方志村はもっと明確で、その事例を1つ1つ明かすまでも無く、そこには恐らく偶然の名作は無いと考えている。やはり何かがある・・。




