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志村恭介編 古城
時は恐らく平安時代より古えの事と思われる。T大学助教授となった志村恭介は、その伸びた無精髭で、殆ど最近洗った事等無いのでは?と思われる頭髪を掻きながら、一冊の古文書を手にしていた。
「やはり・・この古文書に書いてある事が正しければ・・」
あの*政春・清治達(*清治の能力の序説にて)と出会ってから、6年が過ぎていた。志村は29歳になっていた。
長身の体を折りながら、更に志村は古文書の一頁々を丁寧にめくりながら見入っていた。
「よう!」
地下鉄御堂筋線、梅田駅乗車口の所で若い男の声がした。
その声がどこから発したか、数人が振り向いたが、その声の相手が一人の美しい女性だと分かると、振り向いた人々は次には何事も無かったように無言で改札を抜けて行った。
「恵二さん・・お久しぶり」
「やっぱり由利さんだ。今帰り?」
「ええ、そう。恵二さんも?」
「ああ・・ところで兄貴とは最近?」