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SF白い雲  作者: 白木
151/1226

志村恭介編 ニ尾城

 品川の背に向かって、岸上は鼻でふふんと笑った。用済みが消えて、岸上の地位は着々と固まりつつあった。


 その頃・・・

 志村の寝泊りする斎阿覚寺に、品川の福岡行きと前後して2人の人物が姿を見せていた。得体の知れない組織がいよいよその姿を現すかのようであった。2人とも常人では無い雰囲気を漂わせていて、その一人は、40過ぎのサラリーマン風で吉川と名乗った。


「はじめまして。私は吉川と申します」


 差し出された名刺は、関東TV局のプロデューサーの肩書きであった。


「実はT大学の品川助教授の紹介でお伺いしました」

「はあ・・それで、ご用件は?」


 志村は例の調子でぼそぼそと答えた。


「私は表向きは、関東TVのプロデューサーですが、元自衛隊の諜報部の特殊部隊に居ました。今でも自衛隊には独自のルートを持っています」

「・・・それで?」


 淡々と答えながら、志村は吉川を見上げた。鋭い視線をしている男だった。

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