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志村恭介編 ニ尾城
「おーーい、由利!昼飯にするぞ」
由利が大きなお腹を抱えながら、昼食の準備をしていた。
「おお、無理しちゃいけんよ!」
真っ黒い顔の、いかつい顔の待田が優しい声で、由利に声を掛ける。由利が微笑んだ。
「それにしても、四国では品川さんが大変だったわね」
「ああ・・でも、ものは考えようで、あの程度で済んだと思わなきゃ。当分品川君も動けないだろう」
「そうじゃ。言っちゃあ、悪いがのう、あちらは小さな発見で終わる可能性が高いけんど、こっちは既に、度肝を抜かれるような・・」
「シイっ!声が大きいですよ、待田さん。芝生等で埋蔵物をカムフラージュするのが大変なんですから」
志村が少し眉をひそめた。
「済まん、済まん。それじゃ、池をそろそろ掘って、小田君の所から鯉でも仕入れるとするかのう」
と言って、待田は笑った。掘っては埋め、掘っては埋めを繰り返しながら、既に、このミニゴルフ場の大部分は完成に向かっていた。