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SF白い雲  作者: 白木
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志村恭介編 ニ尾城

「なあ、志村君よ。今度はこっちじゃ無いのか?」


 尋ねたのは待田であった。


「あるかも知れません。・・では?中止しますか?」


 少しにやっとしながら志村が答えた。青白かった志村の顔は真っ黒に日焼けし、精悍な顔つきになっていた。


「止める筈も無かろう?ここはわしの土地で、このミニゴルフ場が完成するまではのう、わっはっは」


 待田は、豪快に笑った。南尾城と思しき地点の山林を待田が購入したのだ。この土地の値段が元々山林と言う事もあるが、小田が差し出した、「白写り」の銘鯉の値段と同じだと言うから驚きだ。何でも、「黒鳥の剣」と言う全日本品評会で、全体総合優勝の鯉だと言う事だ。そして、不思議な事に予想されたような妨害や学者等の注目を浴びる事も無く、ゴルフ場を造成中と言う表向きの工事の傍ら発掘作業は、誠に順調に来ている。それは、岸上が発掘した寒風山遺跡より格段違う価値のある物が出土しているのであった。その貴重な埋蔵物を、無造作にその辺に散乱させると言う、あくまでも個人的なゴルフ場開発と言う煙幕を張りながら・・。いかにここまでで慎重に、用意周到に志村達が準備を進めて来たかが分かる。

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