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志村恭介編 ニ尾城
「ところで、晴臣さん、広島の人は大丈夫なんでしょうね?」
「手は打ってるよ。特別に、この養鯉場の全国展総合優勝の銘鯉「白写り」を1尾進呈したよ」
「なら、結構。じゃあ、近々動けそうですね」
由利には、何がどうなっているのか理解が出来なかった。
その日の午後になって、小田錦鯉センターには5人の者達が集まった。小田春臣37歳、志村恭介30歳、光原哲夫33歳、待田宗堂52歳、合田精司38歳、そして由利だった。志村は研究を停止していた訳では無かったのだ。着々と、用意周到に準備を進めて来ていたと見え、既に別子山村の村長山田もこのメンバーに加わっていると言う。まずは光原が待田の自己紹介を始めた。
「待田宗堂さん、広島で建設業を営まれる、土建屋のプロです。自らも土質学者と称し、年は食っていますが、私、光原の門下生です」
「おいおい・・」




