119/1226
志村恭介編 ニ尾城
「だが・・由利。君の家(文房具店)に、影響は?」
岸上のやった事を見透かしているかのように、志村が言う。
「大丈夫・・昨夜、父さん、母さんが心配無いって言ってくれた。T大学からの文具納入の取引の件は、はっきり断るって。契約を私の結婚への重しにはしないからって」
会話を聞いていた恵二が唾をぺっと吐いた。
「しかし・・権謀術数の権化のような奴だな、岸上ってのは。聞けば聞くほど、全ての事に虫唾が走るぜ」
恵二が怒った。
恭介は由利の肩を抱いた。
「ま・・ここから先は闇だが。でも危険だ。既に品川君まで引き込んで行動してるとなると・・」
「私は恭介さんと一緒よ。これから」
「ああ・・俺ももう離したくない・・由利を。恵二・・お前はこれから俺の連絡役として動いてくれるか?」
「ああ!いいとも」
恵二は心良く受けた。




