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志村恭介編 ニ尾城
由利が慌てて隠そうとしたが、恵二は由利の手を引っ張った。
「行こう」
「待って!何故?」
「兄貴は居るよ、今朝確かめた。俺は兄貴の通帳を持って、今からそこへ行く」
「えっ!」
「由利さんも行くつもりで、身支度をしてたんだろう?」
「・・・」
由利は黙って頷いた。
恵二は内心飛び上がる程嬉しかった。やっとこの2人に幸せが訪れると感じたからだ。
車中での会話・・
「ねえ、何で結婚する気になったの?岸上と・・」
「・・・・」
由利は答えなかった。
「気に障ったら御免。でも聞けば、そいつは兄貴のライバルで、相当な上昇志向の嫌な野郎だと言うじゃない」
「恵二さんって、恭介さんとは全く違うのね」
由利は少し眉間に皺を寄せた。




