111/1226
志村恭介編 ニ尾城
「結婚式のかい?」
「そうよ。それが?」
「・・兄貴に会って来た」
「えっ!ど、どこで?恭介さんは?」
「元気だよ。でも由利さんが結婚するって言ったら、唇から血の滲む程悲しがってたよ」
「そんな・・・・もう遅いわ」
「遅くなんて無い。由利さんが待ってる・・その一言で良いんだ」
「ふ・・ふふ。恵二さんには分からないのよ」
由利は苦しそうに答えた。
「分からないで結構。愛する者に命を賭けるのが男で、信じて待つのが女だ」
「だから・・・子供の発想だって言うの。さあ・・もう帰って頂戴。会議が始まるから」
由利が突き放すように言うと、恵二はその顔を見ながら
「・・兄貴さ、山口県に居たよ」
「えっ!どこ?そこのどこ?」
由利が聞きなおす。