避けろ!ガンダーロボ!
「戦え!ガンダーロボ!」
街の平和を守る、ちっちゃな叫び声が響いた。
操縦者は、古田大和。
今年、幼稚園に入ったばかりの、まだ5歳の男の子だ。
「ぶ〜ん……」
ガンダーロボは、直立不動のまま、ふわっと大空に浮かんだ。
エンジンなんて必要ない。
この巨体のエネルギー源は、お母さん、古田亜樹の息づかいだ。
彼女の心が、静かに、ガンダーロボの回路を灯す。
「来たか、ガンダーロボ。今日こそは、お前をぶっ壊してやる……!」
街を荒らす敵は、怪獣アギタロン。
直立不動でぴょんぴょん跳ねながら、テーブルタウンの上を大暴れしている。
あと少し遅れたら、コップが倒れるかもしれない。
それくらいの危機だ。
アギタロンの魂は、お父さん、古田拓也。
まだ一度も勝てていない。
5連敗の屈辱を、今日こそ晴らす——それだけが、この怪獣の、純粋な願いだった。
「ガンダーロボ、お前を待っていたぞ。今日こそは倒す!」
「アギタロン!負けないぞ!」
大和の、正義の声が木霊する。
小さな胸から溢れる、熱い叫び。
「喰らえ、ガンダーロボ!アギタロンビームだ!」
アギタロンの大きな口が開き、熱を孕んだ光が迸った。
千度の炎を纏った、信じる心にだけ映る幻のビーム。
空気が一瞬、橙色に震えて、世界が歪んだ。
大和はピンチを察知する。
「危ない!ガンダーロボ、避けろ!」
言葉が、操縦桿になる。
「ぶ〜ん……」
ガンダーロボは、直立不動の姿勢のまま、まるで空に根を張った巨木のように、熱光線をすり抜けた。
信じる者だけが目撃する、奇跡の回避。
テーブルタウンの空に、今日も小さな英雄譚が刻まれ続ける。




