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異次元10冊ノート ~無からノートを作り出すだけの男、流石に無双できない~  作者: ろうそく魔神
トライデア戦線、死闘あり

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第20話 モリントワーム!

 いきなり出てきたかと思えば魔獣の討伐協力を押し付けられた俺たちは異界騎士団を名乗る3人とともに作戦会議をすることになった。


 6人で輪を作り、創り出したノートとペンをリーダー格らしきスキンヘッドの男に差し出す。


「しょうがないから協力はするが、ひとまずこのノートにモリントワームとやらの特徴とお前ら3人の名前と超奇跡ストレンジ、戦い方を全部書き出せ。最低でもそれが条件だ。」


 困惑しながらもスキンヘッドの男は差し出さされたそれらを受け取る。


「へぇ、君たちが条件を出せる立場なのかい?超奇跡ストレンジの開示というのは異界人にとってかなりの重要なものなんだけどね。」

「俺らがいなくて困るのはあんたらの方だろう。それにこっちが戦闘能力の把握をしてないんじゃ協力できたもんじゃない。」

「ううむ、確かに協力をお願いしている立場で、我々だけ手の内を隠すのがアンフェアかつ不合理というのはそうだね!それに、自分の力を少しでも使わせて主導権を握らせようとしているのかな?なかなか君もやり手だね!」

「ちっ」


 自分の目論見がすべてバレているようだったが、あちらも理解してくれたのか情報をノートに書いてもらえるようだった。


 ****


■モリントワーム

 体長20mほどの巨大な緑色のミミズ型魔獣。

 現在『トライデア』に向けて進行中。

 街への被害を防ぐため進行を阻止する必要がある。

 不用意に接近すると巨体に巻き込まれてしまうため、接近戦は難しいと判断。

 当初の作戦では少数精鋭の魔法使いの部隊で包囲、

 一斉攻撃で討伐する予定だったが、体表から魔法を吸収、口部からビームを

 放出する特性があることが戦闘中に判明。

 そのため魔法攻撃ができず、反撃によって部隊が壊滅的な被害を受ける。


「いかんせん急に現れたものだからね、大掛かりな討伐部隊は編成できなかったんだ。それに他の戦闘向きの異界人は魔王討伐で出払っていてね。普段はサポート役の我々が出撃したというわけだ。」


■ヘラク(スキンヘッドの筋肉男)

 超奇跡ストレンジ:修復

 寿命と引き換えに命あるものの治癒を行う能力。

 元の世界ではアメリカのレンジャー部隊で格闘術の心得はあるが、

 一撃必殺級の技や魔法はない。


■ラルミラ(銀髪で小柄な少女)

 超奇跡ストレンジ:読心

 視界に入れた人間の心を読む能力。人間以外の生き物は対象外。

 魔法、武術は使えず戦闘不可。基本は部隊内の連絡役。


■フィロン(長髪黒髪で高身長の男)

 超奇跡ストレンジ:操風 

 魔法を使用せずに風を操る能力。ただし無制限の操作は不可能。

 風を操って空を飛んだり、風の刃による攻撃が可能。

 部隊の全員を風で運ぶことで移動の役割を担う。


 ノートに記載された情報で異界騎士団の能力を把握したため、見かけ上は対等な状況になった。


(どうせ能力はなんか隠してるだろうけどな……)

「ふふ、どうでしょう。」


 銀髪少女のラルミラがこちらを見て不敵に微笑む。


「どうせ分かってるんだろうけど俺はノートを創る能力で魔導書を作れるってのと、ラーちゃは魔法使いなんだけど魔獣に魔法は効かないんだったよな。そうなると実質有効そうなのはキョウヤの逆境に強くなる能力だけってわけか……」

「そういうことだ。俺の風じゃ少し傷をつけるくらいで致命傷にはならなかった。」

「それでも20mもあるバケモノに僕が突っ込んでいっても潰されて死ぬんじゃ……」

「確かにそうだね!奴は巨大な体躯に加えて動きも激しい。だから我々6人が協力して戦う必要があるんだよ!」


 スキンヘッドの男、ヘラクは笑顔を崩さずに話を続ける。


「現実的な案としては5人がかりで魔獣の動きを止めてキョウヤ君がトドメを刺すということになるかな?」

「魔獣の動きを止めれば攻撃は当たるかもしれないが、それじゃあ『逆境』の能力が発生するか怪しいな。キョウヤにとって有利すぎる。」


 キョウヤの『逆境』の能力は自分が追い込まれるほど能力が倍加するものだ。

 単に動きを止めた魔獣ではピンチとは見なされず、条件を満たせない可能性がある。


「そうなるとどうにかしてキョウヤ君を追い詰めたうえで魔獣の動きを止めなきゃいけないってことっしょ!?無理じゃんね?」

「キョウヤ君を死ぬ寸前まで追い詰めてから戦わせるとか……?」

「え!?待ってくださいよ……」


 ラルは見た目に似合わず物騒な提案をする。


「それはダメだ。魔獣を拘束できるタイミングが未確定なのに戦闘前に負傷しているのはリスクか高すぎる。」

「傷ついたとしても私の能力で治療するというのはどうかな?」

「寿命を使うんだろ、それ!当然なしだ!」


 いくら街のピンチとはいえキョウヤが犠牲になるのは看過できない。

 それに超奇跡ストレンジで傷が治ったとしてもキョウヤを無闇に傷付けることで心か身体に後遺症が残る可能性も否定できない。


「それなら君には良い案があるのかい?」

「それは……」


 確かに巨大で魔法の通用しない20mのミミズを拘束してキョウヤをピンチにする方法なんて──


「……ラーちゃ、この辺に崖はあるか?」

「あるにはあるけど、まさかキョウち突き落とすの??」

「それじゃあ動いてる魔獣に攻撃を当てられない。だから──」


 俺は作戦を話す。


 ****


「作戦については了解したよ!それにしてもサイゴ君もなかなかぶっ飛んでるね!」

「結局キョウヤには負担かけちまうけどな……」

「気にしないでください。僕もそれしか無いと思います。」


 俺が立てた作戦は決して安全なものでは無い。

 しかしそれが現状最も確率が高いということはキョウヤ含めて全員が納得してくれていた。


「それでそのモリントワームってのは今どこにいるんだ?」

「ああ、言い忘れてたけどモリントワームはミミズよろしく地中を穿()()しながら移動できるんだ。」


 その話を聞いた瞬間、地面がゴゴゴと鈍い揺れが起きているのを感じた。


「まさか……」

「それでヤツは戦闘で手傷を負わせた私たちを殺しに来てきているからね。もうそこら辺に来ていると思うよ!」

「そういうヤバいことは先に言えよ!!!!!」


 地鳴りが徐々に大きくなっていることから、ヤツがこちらに向けて接近して来ていることが確信に変わった。


「チクショウ!作戦開始だ!!!全員散れ!!!」


 その瞬間地面を引き裂き、木々をなぎ倒しながら巨大なバケモノが顔を出した。

 その顔はミミズというよりかは元の世界で言うところの『サンドワーム』のような形状をしており、リング上に並んだギザギザの歯からよだれを垂れ流しながらこちらを睨む。


「うおぉぉぉぉ!!」


 俺たちはバラバラの方向に全力でダッシュして逃走、討伐作戦を開始した。

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