第三話 モンド城
第3話です!
この話では、かなりオリジナル要素が取り入れてられております。
こうした方が面白いかな?と勘案をした結果こんな感じになりました。
楽しんでいただけると嬉しいです!
これにて一件落着。
一難去ってまた一難だったが、なんとか無事に俺は危機から脱したのであった。
アンバーは、俺に対する謝罪と礼がしたいと言ってくれたのだが、俺は「じゃあお前の街モンド?とやらを案内してくれ」と頼むと、「そんなことでいいの?」と少し驚いて、すぐに快諾してくれたのであった。
かくして、俺たちはモンドという国に向かっていた。
アンバーは俺が神の目を知らなかった時点で異邦人であることを見抜いていたらしく、道中でこの世界、テイワットに関する様々な知識を教えてくれた。
まずなんと言っても元素力についてだ。
さっき見せてくれた神の目を媒介にして使うもので、7つ種類があるらしい。
炎、水、草、雷、岩、風、氷。
神の目は誰でも持っているわけではなく、特定の人物だけが持つものなのだと。
それらの力を駆使して、魔物と戦ったり、日常に役立てたりするそうだ。
ふーん、かっこいいじゃん。
日常に役立つのは知らないかったが確かに俺の水も、手を洗うくらいには活用できそうだ。
あとこの話を聞いて俺がなぜその水が出せるのかが本格的に謎になってきたな。
これに関しては完全に初のケースで、アンバーも全くわからないのだそうだ。
次に七国について。
七国とはモンド、璃月、稲妻、スメール、フォンテーヌ、ナタ、そしてスネージナヤの7つの国の総称なのだそうだ。
それぞれの国には七神と呼ばれる存在がそれぞれの国に1人ずついて、そのもとで統治されているのだそうだ。
そういえばコイツも「風神のご加護があらんことを」とか言ってたしな。
神、か。
人間より格上の存在として、強大かつ偉大な力を振るう存在。
俺の世界でも馴染み深い存在だが、明確に違う点は本当にいるか否かだ。
こっちには神が本当にいるのだ。
それは何かとても不思議な感覚がする。
偶像崇拝の類には無縁だったが、神がどんな存在なのかは気になる。
一度会ってみたいものだ。モンドに着いたら探してみるか。
まあそんな気安くいるとは思えないが。
もっと荘厳としたイメージだよな、やっぱ。
そこらのバーかなんかで気安くいたらそれこそ信仰に関わるのではないか。
まぁ絶対ないと思うが。
俺はそんな愚かな想像を捨て、再びモンドへと歩を進めるのであった。
しばらく歩くと、眼前に巨大な湖が。
そして、その湖上に浮かぶのは巨大な城塞とも呼べる建造物。
城内からは風車が何本も立っているのが見えた。
「カイト!あれが私たちの国、自由の国モンドの中心都市だよ!」
「おー!あれがかぁ!」
俺は感嘆の声を上げた。
それは紛れもなく、この世界で初めて見る文明の象徴とも呼べるものだったのだ。
アンバーが言うように、確かにその風貌は中心都市と呼ぶに相応しい、とても立派なものだ。
外壁に覆われていて外部からでは様子が分からないが、風車もあることから中の文明は相当に発達しているように見える。
早く行こうぜと、俺は足早に城門へと向かい、アンバーがちょっとまってよ、と急いで追いかけてきた。
仕方なかろう、俺はかつてないほどに胸が高まっているのだから。
興味の尽きない日常が始まっていくのだと、俺はワクワクでいっぱいだったのだ。
城門に着くと、アンバーが衛兵に挨拶をしていた。
どうやら荷物検査やら諸々の面倒なて続きを省いてくれたのだろう。
俺はアンバーにお礼を言い、ついに自由の国モンドの中心都市へと足を踏み入れたのであった。
都市の街並みは、実におしゃれな雰囲気があった。
全体的に建造物は西洋チックで、フランスあたりの街なみを彷彿とさせた。行き交う人々もおよそ日本人の顔つきではない。
教会があったり、噴水があったりと、日本では見ないものばかりで、俺はすっかり見入ってしまっていた。
そんな俺を見て、アンバーが自信満々に話しかけてきた。
「どう?素敵な街でしょ?」
「あぁ、マジでいい感じだなお前の街」
「そうでしょ〜?えへへ」
照れるアンバー。だが俺の言葉は本音で、本当に趣を感じる街なのだ。
田舎暮らしの俺からすると、憧れの大都会。大きなビルなどはないが、それでも街の活気や、建造物のレベルの高さがある。
そして異国の情緒の相乗効果で、俺の好感度は限りなく高まっていた。
「じゃあひと通り見て回ろっか!」
と、アンバーが感心している俺の腕を引っ張る。
俺は慌ててそれについていき、アンバーの案内を受けることとなった。
まずはこいつの所属している西風騎士団本部について。
堅牢な作りをしていて、まさしく軍事司令要塞のような印象を受ける。
一際目立つ見た目をしていて、監視塔らしきものもある。
そして当たり前だが、アンバーの服に彩られたデザインがここの旗のデザインと一致していた。
そんな騎士団本部だが、なんとこれはモンドにおける実質的な統治機構なのだそうだ。
神は!?とツッコミを入れたくなったがその前にアンバーがちゃんと説明をしてくれた。
どうやらモンドは他の国と違い、神が統治をしていないのだとか。
これにも驚きだったが、さらに驚愕する事実が告げられる。
風神バルバトスは象徴として存在しているが、消息不明なんだと・・・・って、神が消息不明って何だよ!?
アンバーによると他国の神は確かに存在するが、モンドはその存在が不明瞭で、本当に存在しているのかわからないらしい・・・
なぜモンドだけ?と思ったがそれはアンバーにもわからないらしい。
もはやそれが当たり前なんだろう。
そうなんだと納得して、俺たちは次の場所へ向かう。
教会だ。
大教会というのが正しそうだ。
とんでもなくデカかった。それこそサグラダ・ファミリアを連想させるような威容を誇っている。
俺が呆気に取られていると、アンバーがまたもや流暢に説明してくれた。
「ここは大聖堂だよ。バルバトス様を神として祀ってモンドをこれからも守って下さいって祈るんだ」
風神バルバトスを祀るために建てられた聖堂か。
しかし当の本人が存在していないとすると完全にただの偶像崇拝だな。
「バルバトスっていないかも知れないんだろ?なのに祀ってんのか?」
実利もなく祀るほどこの世界は平和じゃないと思うのだ。
「うーん、一般論は「いると信じられている」だけど、私個人の見解だとバルバトス様は確実にいると思うよ。いた、の方が正しいのかな、各地にバルバトス様の伝承があったり、それこそ神の御技の痕跡も残っているんだから」
「神の御技?」
「そう。例えばマスク礁って場所があるのは知ってる?今は海抜30メートルくらいの小さな丘みたいな感じなんだけど、昔はとんがり帽子山っていうとっても高い山だったんだ。その山の大部分をバルバトス様が吹き飛ばして、今の形になったって言われてる」
「・・・・は?」
俺はまたしても呆然となってしまった。
いやいや、山を吹き飛ばす風ってどんな威力だよ!?
台風なんてレベルじゃないじゃない。反則レベルの技じゃねぇか。
少し、いや相当みくびっていた。
この世界の神とは正真正銘、神という名に恥じない実力を持つ存在なのだろう。
あっけらかんとして俺をよそに、アンバーはなおも続ける。
「というかこのモンドの地形自体がバルバトス様によって作られたって話もあるくらい。元々モンドは氷雪地帯で、険しい地形だったんだって」
それの名残が道中みた雪山のドラゴンスパインらしいよ、と付け足した。
「マジかよ、もう何でもありだな」
「だよね。だからこそいないっていうのはあり得ない話だと思うでしょ?」
「確かに」
これだけ証拠があるのなら、いないという方がおかしい話だ。
それでも姿を見せないのはなぜなんだろう?俺はそんな疑問を抱きつつ、次の場所へと案内された。
最後に冒険者教会。
「星と深淵を目指せ!ようこそ冒険者教会へ!」
「は、はぁ」
いきなり受付のお姉さんが話しかけてきてこんなことを言われた。
星?深淵?何の話だよ。
ギョッとしてしまったが、これは冒険者教会のモットーかつ受付のキャサリンさんの決まり文句なのだそうだ。
ここはいわゆるゲームとかでよくあるクエストを発令するところみたいな場所だ。
各国に支部があり、身分登録をするだけで誰でも冒険者になれるんだとか。
するとアンバーがまたしても説明を始めた。
「冒険者はテイワットでも人気の高い職種だよ。ただあんたもここに来る途中戦ってる冒険者を目にしたと思うけど、冒険者の仕事は魔物の討伐が多いんだ。実力にある程度自信があるならいい仕事になると思うけど・・・ないなら配達とか、買い出しとか、結構地味な仕事しかできないんだよね・・・ってもう登録してる!?」
驚愕するアンバー。
そう、俺はこいつを無視し、登録手続きを始めていた。
だって戦うのが仕事なんて、俺の力の練習にピッタリじゃないか。
早いところ水砲を使いこなしたいと思っていたのだ。即決である。
それに俺は、一度暴徒との戦闘に勝っている。これが俺の自信になっていた。
また、あの魔物相当の魔物が少数派であるというのは、確認済みなのだ。
自給自足生活をしていた時、少なくともあいつと同程度のやつを見たことがない。
いるのは比べるのも烏滸がましいような雑魚ばかりだった。
そして実際、雑魚い。
文明探しの散策をしていた時、実は何体かの魔物と戦っていたのだ。
まずはスライムだが、大型小型関係なく、俺の軽く振るったパンチ一発で粉々に砕け散った。
氷の大型は何やら氷の兜のようなものをかぶっていたが、全く意味を成さない感じ。
俺に至っても氷は殴った後てが少しひんやりするなと言った程度で、拳が痛むなどの怪我も全くなかった。
そんな感じで、スライムはまず俺の敵ではなかった。
そして暴徒の子分、普通のヒルチャールについてだが、知性がそれなりに高そうに見えた。
集団行動をとっており、流石に1人で戦うのはやめておいた。
だがおそらくは、俺も武器さえ持てば容易に勝てると思われる。
武器の取り扱いなどまるで分からないが、今の俺の身体能力なら何とかなりそうな気がしていたのだ。
まさしく脳筋。だがやる気がないよりマシである。
やるならやはり剣だろう。男の子の憧れだ。もちろん例に漏れず俺もその1人である。
日本刀みたいな武器があればなお良いのだが・・・ここでそれは流石にわがままというものか。
少し話はそれたが、まあこんな感じで俺の戦力は少なくともそこらの魔物の討伐には困らないものであった。
俺が必要事項を記入し終えると、キャサリンさんは少し待っていてください、と俺に言っていそいそと何やら準備を始めた。
その手際の良さには感服であった。まるでロボットのように様々な事務作業をスムーズにこなして見せた。
そうして大して待たずに彼女から冒険者手帳という、いわゆる免許証の冒険者バージョンみたいなのを渡された。
結構分厚めなそれをペラっとめくって見ると、最初の「冒険者ランク」ページにデカデカと「E」とハンコが押されていた。
これがどういう意味なのか聞いてみると、どうやら冒険者には階級が存在するのだそうだ。
E、D、C、B、A、S、Zの7段階。
かけ出しがEランク、普通の冒険者がDランク、ベテランの冒険者はCランク。このままB、Aと行くかと思ったが、どうやらそうではないらしい。
Cまでは実力がなくても、雑事などの戦闘以外の依頼をこなしていれば勝手に上がっていくらしいのだが、Bからは昇格試験なるものが導入されるらしい。
それは力の有無を強制的に篩にかける試験で、昇格したければ避けては通れないのだそうだ。
そうして試練を乗り越え、その資格を得たものが初めてBランクの名誉を与え得られるのだと。
ちなみにこの資格を持つものは全体でも少なく、Bランクは准将、Aランクは中将、Sランクは大将、Zランクは元帥と、固有の称号が授与されるのだそうだ。
例えば俺がZランクだったら「カイト元帥」と言ったところか。
・・・なんか恥ずいな。
「我こそはカイト元帥であるぞ〜」と言ってるようなものだ。
だが強者がそのように自らの実力をひけらかすなど俺の美学に反する。能ある鷹は爪を隠すのだ。
だから、俺は仮にBランク以降を取れたとしても間違っても「カイト(称号名)」 などと名乗らないぞと心に決めたのであった。
まあとりあえずはDランクを目指して頑張るとするか。こういうのは焦らずコツコツと、が大事なのだ。地道に依頼をこなして行こう。
「そういえばお前は何ランクなんだ?」
「私を無視してそんだけ進めておいてよく抜けぬけと質問できるね・・・・まぁいいや。私はまだCランクだよ。Bの試練がなかなかクリアできなくてさ〜」
若干お怒りだったが、何とか許してもらえたようだ。・・・すみませんでした。
で、こいつはCランクと言っていたな。
神の目所持者でもBランクの試験は難しいのか・・・これは長い道のりになりそうだ。
だが、全く億劫でも何でもない。これは俺が好きで始めたことだ。であれば、突き詰めるしか頭になかった。
むしろやる気に満ち溢れすぎていて、興奮気味に俺はぽろっと口にしてしまった。
「そんなにBは難しいのか。じゃあその上のAとかはどんだけやばいんだろうな。それにしてもZとかいつか成りたいな」
その言葉を口にした瞬間、周囲の視線が一斉に俺に向いた気がした。
アンバーやキャサリンさんさえも驚いた表情で俺をみていた。
えっと俺、何かまずいこと言った・・・・?
長い沈黙。
すると、アンバーが恐る恐る聞いてきた。
「カイト、それ本気で言ってる・・・?」
「あ、あぁ。俺もせっかくやるんだったら極めたいなぁって・・・」
再び沈黙。
・・・いや、向上心を持つことの何が悪いんだよ!!
そんな対応をされるとこっちが悪者みたいじゃないか!!
俺はそんな怒りと心配を感じつつも、沈黙した2人の様子を見やった。
「ぷっ、あははははは!」
沈黙を破ったのはアンバーの爆笑だった。キャサリンさんは呆然となっていた。
「何かおかしいか・・・・?」
「いや、ごめんね。カイトがあまりにもすごいことをサラッと言ったからさ」
「すごいこと?」
「そうだよ。Zランクに成りたいなんて普通は言わないんだよ・・・?」
「そうなのか?」
最高ランクに成りたいのは当たり前だろ。一体どういうことだ?
困惑する俺に、キャサリンさんが続ける。
「冒険者になろうとする方々の動機は様々です。人の役に立ちたいとか、お金を稼ぎたいとか・・・。色々ありますがその大半が、自分の腕を磨きたいというもの。つまり強く成りたいという理由で入ってくるんです。最強を目指して彼らは当然上を目指し進み、数多の試練を乗り越え、他者を出し抜き、ひたすらに強さを求めます。その結果大将の称号を手にするものもいます。彼らほどの実力者じゃなくとも、協会に入って鍛錬を重ねた者たちは皆自らの強さに誇りを持っていて、そしてさらに上を目指そうと言う心意気は止まることはないのですが・・・。しかし、そんな彼らの中にもたった一つ揺るがない共通認識があります。それは『自分たちが目指すのはSのトップランカーであり、Zではない』というものです。これは一度は最強を目指した者たちの畏敬の表れであり、その存在はいかなる干渉を受けようとも揺らぐことはないと信じられています。だからこそ、Zに到達しようと志すものはほとんどいないと言うのが現状ですね。なにしろZランク1人の戦力はSランク一個師団並と言われていますから」
つまり軽々しく成りたいとかいえないほどの化け物集団ってことだな。
だがいきなりSランク1000人分?とか言われてもわかる訳がない。
「なるほど。ちなみにSランクの方はどれくらいの強さなのでしょうか・・・?」
「そうですねぇ、等級がAランクの魔物10体を同時に相手しても勝利するくらいの方々です」
「ほう、それってヒルチャール暴徒くらいのやつですか?」
「いえ、暴徒はCランクです。Sランクの方ならおそらく1000体相手でも鎧袖一触かと。5000体ほど集まってようやく勝負になる感じですね」
「げえええええ!?あれを5000!?」
おいおい、次元が違うってレベルじゃねえぞ。
あんなの5000体も相手してたら命がいくつあっても足りないわ。
どんだけ桁外れなんだSランクは。そして段々とZランクの恐ろしさがわかってきた。
つまり5000体の暴徒✖️1000人のSランク=5000000体の暴徒分の強さね・・・
うん、おかしい。
「Zランクって人間ですか?」
「ええ。全員が人間・・・だと思われますよ」
「思われますよってなんだよ・・・」
どうやら協会もおよそ人間扱いしてないみたいだ。
まあそれも仕方ないよな。暴徒500万体の強さってなんのギャグだよと思う。
というか魔物にも等級があるらしい。この基準も協会が定めたものらしいが、あの暴徒がC・・・
正直納得いかないが、世の中には上には上がいると言うことなのだろう。
だが、だからこそ。
「Zランクの凄さはわかりましたけど、俺はそこを目指しますよ」
俺はなってやると覚悟を決めたのだった。
一度好きになったのなら徹底的に極める。これが俺のモットーなのだ。
「そっか、頑張ってね・・・」
「おい引くな」
アンバーがドン引きしてた。あんだけ言ってやったのに何言ってんだコイツ、とでも言いたげな目で俺を見ている。
まぁ無謀だとは俺も思うけどさ・・・
そう言う挑戦ほど燃えるってもんだろ?目標は高く大きく持つものなのだ。
「アンバーさんの言う通り、目指すだけなら自由です。ですが大きすぎる目標を掲げて無茶をする方も少なくないので・・・。一つ警告を。間違っても今の自分のランクよりも上の等級の魔物とは戦闘しないでくださいね。あとはCランクまでの話にはなりますが、ほとんど戦闘以外の任務でランクを上げた場合でも、です。統計もありますが、こうした方々の約98%の方は重傷もしくは死亡しています。ランクや等級は協会が厳正に定めたものですので、信用していただけるとありがたいです」
キャサリンさんは厳かにそう告げた。それは調子に乗ったやつの末路。
実力を過信すると死ぬよってことだな、心得た。
「オッケーです。コツコツと頑張りますよ」
俺がそう言ってキャサリンさんの方を見ると、彼女はありがとうございます♪とにっこりと笑って返してくれた。それを見て俺もより頑張ろうと思えたのであった。
ん?てか待てよ。スライムの等級が何かまだわからないな。おそらくはEで間違いないはずだが・・・念の為。
「あのところでスライムって何ランクですか?」
「小型がE、大型がDですね。詳しくは冒険者手帳に載っているので、それをご活用ください」
「・・・オッケーす」
俺は知らず知らずのうちにDランクを倒していたらしい。しかもワンパンで。
暴徒もある意味ワンパンだったし、俺のランクは実質Cってことなのでは?
まあこれはあまり言わないでおこう。面倒になりそうだ。
その後色々説明を受けた後、俺たちは冒険者協会を後にした。
こうしてモンドの主要を回り終わると、ちょうど晩飯の時間に差し掛かっていた。
アンバーがうまい飯屋を紹介してくれるらしいので、俺はそれについていく。
「何から何まで本当にありがとな」
「いいんだよ!お礼なんだから。それに、こうやって街を紹介するのも偵察騎士の勤めだからね!」
「何でも屋かよ、偵察騎士は」
「違う!困ってる人を助けるのが仕事なんだよ!」
「そうかそうか、悪い悪い」
そんなたわいもない会話で盛り上がっていると、ふと後ろから声を掛けられた。
「盛り上がってるとこ悪いんだが、ちょっと待ってくれねえかお二人さん」
俺たちが振り向くと、そこには何やら優男ぽいのがいた。
少し青緑が勝った紺色の長髪で、褐色肌につり目、つり眉の男。
その表情はにこやかとしているが、決して油断ならない目つきをしていた。
「あ、ガイア先輩・・・」
ここまで読んで頂きありがとうございます!!
第四話も読んでいただけると嬉しいです☺️