表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

年末年始

作者: 羽眠四素

日の続きだから特別なことはない、はず。

なのに大晦日から新年にかけてそわそわしてしまう。



「明日の仕事面倒すぎる……」


「ほどほどに頑張れ」


「新年から仕事ってこと自体むりだもんーー」


まぁぼくも面倒じゃないときなんてあまりないけど。

仕事が生きがいとは言えないし生きるためにこなしてる感じかも。



「アラームつけた?」


「つけたよー、5:30」


本当はお休みだったら日の出を見に行きたかったな、初詣の屋台いきたかった、とかぽそぽそ文句をいう彼女はかわいい。

ていうか初詣のメインって屋台じゃないのに。



「お雑煮作っとくから帰ってきたら一緒に食べよう」


「お餅ひとつで」


「うん、焼いてからだよね」


去年はふたりとも休みだったからたくさん寝て、昼からちゃんとしてたけど。

今回は普通にパンにスープに目玉焼きにしよう。

そのかわり夜ご飯でお正月っぽくしたらちゃんと新年じゃない?


実家に帰ればおせちとかも出してくれるだろうけど、それは距離とか関係とか考えると少しだけしんどい。



「来年はインフルエンザ蔓延しないでほしいー」


「来年どころか毎年でいいよそれ」


ぼくの方のアラームもチェックする。

彼女より15分だけ早く起きてせめて温かいご飯くらいは用意したい。



「もう寝とこっか」


ぼくよりだいぶ小さい彼女の頭を腕にのせてホールドする。

スマホを見る時間あったら少しでも寝かせたい。



「……寝ない子したい」


「明日きついでしょ」


「…………せめて…新年迎えるま、で」


もうすでに言葉があやしくなってる。

年末年始に忙しい職種ってこうなるよな、とぼんやり常夜灯にさらされる彼女の耳元に新年になったら言うから、と伝えた。

とたんに安心したような規則正しい呼吸音。


ふ、と笑いそうになるのをこらえる。

信頼しきってるのって嬉しい。


彼女に光が当たらないようにスマホをぼんやりと操作しながら年が変わる瞬間に小さな声で。

起こさないように。だって言うとは伝えたけど起こすとはぼく言ってないし。



「あけましておめでとう、それと」


これはまた起きてるときにも伝えるから。

そのときに返事をちょうだい。



「今年も愛してる!」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ