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潜入捜査官はエルフ  作者: 月ノ裏常夜
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第5話 窃盗の待伏せ

 翌朝、俺はルルを連れて団長室へと向かった。一日一回の報告を行うためだ。日中は捜査を行う。捜査状況によっては報告に行けなくなる事もあり得る。そう考えると朝一に報告に行った方が良い。

 団長は団長室にいる事が多く、現場に出る事はほとんど無い。今日も例外ではないようで、すぐに団長に会う事ができた。

「マリーから聞いている。密猟品は押収したそうだな」

 団長は自らの机の上に置かれていて、さらに団長の手には一枚の書類を持っている。団長ともなれば毎日のように大量の書類を処理する必要があるのだろう。

 その書類から俺の方に視線を移して、団長はそう言った。

「はい、その通りです」

 あの場にはマリーもいた。あの後ローグ商会の構成員を護送するために本部に戻り、そのまま団長に報告したのだろう。

「ではお客人の捜査は完了という事でよろしいか?」

 そう言いながら、団長は俺からルルに視線を移す。

 団長としては、密猟品の押収に成功及び、密猟に関与していると思われる商人の死亡により事件は解決と考えているようだ。

「いや、まだ商人の口封じをした暗殺者の正体は掴めていないし、実際にエルフの森で密猟をしていた実行犯も分かっていない。その二つの犯人を捕まえるまでは、事件の解決とはいえない」

 ルルの考えは違う。

「商人の暗殺が密猟と関係あると?」

 団長の立場としては、下手に怪我をされる前に帰ってほしいというのが本音なのだろう。言葉の端々からそのような雰囲気が感じ取れる。

「ローグ商会からは証拠の密猟品が出てきたのだ。無関係なはずが無いだろう。密猟と関係なく、偶然昨日あの商人が殺されたとでも言うつもりか」

 状況からすれば、関係があると考えるのが普通だ。とはいえ商人が死に、暗殺者は逃げてしまった以上、現段階では憶測の域を出ない。

「しかし、密猟とは無関係な商売敵や顧客との怨恨からの殺人という可能性もある」

 確かに、それは否定できない。現時点で商人の暗殺と密猟を結びつけるのは、ローグ商会に密猟品があったという状況証拠だけだ。

「仮に商人の暗殺が密猟の無関係であったとしても、密猟の実行犯を捕まえるまでは、私は捜査を続けるつもりだ」

 そもそもルルには一昨日エルフで起きた密猟の実行犯を捕まえるという目的がある。それが達成されていない以上は、帰る事はないだろう。

「確かに売人が死んだというのは、密猟対策の成果ではあるだろうが、完全解決ではないか。ならば仕方が無いな」

 どうやら、団長もルルの考えを認めるようだが、最後の一言が団長の本心を物語っていた。

「では、私は捜査に向かいます」

「いや、まだ聞きたい事がある」

「何でしょう?」

「商人が殺された時、何をしていた?」

「私は商人に厩への案内を頼んでいて、商人に敷地内を案内してもらっている最中でしたが、矢が飛んできて驚いた商人が逃げ出して、そのまま射抜かれました」

「その時客人は何をしていた?」

 その質問に答えたのはルルだった。

「私は道に迷ってはぐれていた」

 そう、ルルは気が付いたら俺からはぐれていた。

「偶然とはいえ怪我はせずに済んだというところですかな」

 そういえばマリーもそれを気にしていた。やはりルルが負傷するのは外交上マズイということなのだろうか。

「そんなところだ」

 ルルもそれは否定しなかった。

「ところで、昨晩の宿はどうした?」

 そういえば、その話はまだしていなかった。

「家に泊めました」

 別に隠すことは無い。俺は正直に話した。

「お前の家に?」

 団長は意外そうな顔をしている。まあ、俺も最初は泊めるつもりは無かった。ルルの要望に押し切られたと言ってもいいだろう。

「何か問題が?」

 結果論とはいえ、今にして思えば本人がそうしたいと言った上に俺が護衛役。わざわざ民宿を手配するよりも、家に泊めた方が良い。

 確かに男の家に女を泊めると、余計な噂が立つ事は俺も考えたが、身の安全には変えられない。

「お前、まさか…」

 団長が絶句している。まさか俺がルルに手を出したとでも考えているのだろうか。

「騎士団長、こやつはただ家に食事と寝床を提供しただけだ。特別な意味はない」

 そんな団長を見て、ルルが割って入った。とはいえ、本当に食事と寝床を提供しただけであり、それ以上の事はしていないのだが。

「そうか」

 団長はまだ何か言いたそうだが、ルルはそうではないようだ。

「他に聞きたい事が無いなら、捜査に行ってもいいか?」

 昨日と同様に、ルルは先を急いでいるようだ。

「手掛かりはあるのか?」

 団長は俺に向かって問い掛けた。

「ありません。しかし、昨日現場に暗殺者が居たのは間違いありません。まずは聞き込み調査をして足取りを追います」

 現時点では承認を殺した暗殺者を追うのが一番の方法だろう。

「そうか。今度は客人を危険に晒すなよ」

 立場上、団長がエルフの身を案じるのは分かるが、それを約束する事はできない。

「それは相手次第です。襲われれば応戦しますが、捜査をする以上、危険な目にあう可能性は否定できません」

 護衛はするが、そもそも危険に晒すなというのは無理な話だ。


 ●


 団長への報告が終わった後、俺はそのまま騎士団の保管庫にきていた。

「昨日の暗殺者を追うんじゃなかったのか?」

 直ぐに町に行って捜査をすると思っていたルルは不満そうだ。

「その前にやる事がある」

 俺にもちゃんと考えはある。

「犯人を追う事よりも優先してやる事があるのか?」

 ルルは不満そうな態度を隠そうとしない。下手に騒ぐ前に説明しておいた方がいいだろう。

「聞き込みだけで、犯人の足取りを終えると思うか?」

 事件が起きたのは昨日だ。目撃者はいるだろうが、殺人に絡む場合、犯人からの報復を恐れ証言をしない場合も多い。

「貴様がそうすると言ったのだろう」

 だがルルにはそう言った人間側の事情は知らず、聞き込みだけで犯人にたどり着けると思っているようだ。

もっと良い方法がある。

「聞き込みよりも、向こうから来てもらえばいい」

 追うよりもおびき出す。その方が確実だ。こちらには相手をおびき出す餌がある。

「おびき出すというのか? どうやって?」

 ルルはその方法にまだ気が付いていないようだ。

「これだよ」

 そう言っておれは昨日押収した、密猟品が積載されている馬車を指した。

「これをもう一度ローグ商会に移動させるとでもいうのか?」

 残念ながらルルの予想は俺の考えを当てる事はできなかった」

「移動させる必要は無い」

 そんな事をしなくとも、俺の予想が正しければ密猟者がやってくるだろう。

「まさか、密猟者が、この密猟品を強奪しに来るというのか?」

 ようやく、ルルが俺と同じ考えに至ったようだ。

「エルフの森に密猟に行くのと、騎士団の保管庫から密猟品を盗み出すのは、どちらが難しいと思う?」

 密猟品を手に入れる事だけが目的ならば、普通は手に入りやすい方法を選ぶだろう。

「確かに人間にとってエルフの森よりも、王都の中にある保管庫の方が近いというのは否定しないが、危険過ぎるのではないか?」

「エルフの森にはエルフの警備隊がいるし、騎士団にも騎士の見張りがいる。どちらも同じぐらい難しいだろう」

 いつもエルフの森から密猟をしているような奴らだ。それぐらいは危険だと思わないだろう。問題は出来るか出来ないかだ。

「しかし、強奪するには、ここに密猟品が保管されている事を知っていなければ無理ではないのか?」

「居るんだろうな」

 密猟者に騎士団の動きを流している者がいる。それは密猟捜査を長い間行ってきた俺が感じていた事だ。

 昨日の商人暗殺も、俺たちの動きを聞いて口封じしに来たのだろう。

「それは誰だ?」

「まだ分からない」

 だからこそ誰にも話さず、二人で迎え撃つ必要がある。

「何故団長に話さなかった?」

 団長に話せば騎士団の協力が得られるかもしれないが、密猟者による保管庫の襲撃はまだ俺の予想であり、確たる証拠がある訳ではない。

「誰が聴いてるか分からないからな」

 それに、情報が外に漏れる危険性を考えれば、他の者に話すべきではない。

「私には話すのか?」

 あの商人が殺された現場にルルが居なかったのは、偶然か必然か気になるところではあるが、エルフのルルが密猟者と通じているというのは考えにくい。

 しかしルルから見れば俺は団長に黙って単独行動をしようとしている事になる。ルルが俺の事を密猟者と通じていると疑っているならば、この話には乗って来ないだろう。

「お前はエルフだ。密猟者の仲間なんて事はないだろう?」

俺からみればエルフと騎士団で、どちらと手を組むかと言えばエルフだ。

「つまり私を信じるという事か?」

 正面からそう聞かれると少し気恥しいが、今はそんな事を言っている場合ではないだろう。

「ああそうだ。だから協力してくれ」


 ●


 しばしの沈黙の後、ルルが口を開いた。

「この荷台の中に隠れていればいいのか?」

 明言はしなかったがどうやら俺の言葉を信じてくれるようだ。

「いや、外で待伏せをする」

 ここで取り押さえるのは危険過ぎる。

「何故だ?」

 ルルはそこまでは理解していなかったようだ。

「商人は口封じされただろう」

 それは昨日の話だ。ルルも知っている。

「この保管庫は騎士団の敷地内だろう。それなのに、犯人が口封じされるのか?」

 商人を殺した犯人と同じ犯人が、口封じをしに来るとは限らない。

「ああそうだ。騎士の中に、密猟者に情報を流している奴がいるなら、どさくさに紛れて口封じをする可能性がある」

 俺の予想では、商人を殺した犯人は密猟者だろう。そして今日密猟品を盗みに来るのも恐らくは同一犯。そして、その口を封じる可能性があるとすれば、密猟者に情報を流していた騎士だ。

 自分の悪事が露見するぐらいであれば、その場で殺害するだろう。

「だから外に出たところを二人捕まえるというのか?」

 ようやく、ルルが俺の考えを理解してくれたようだ。

「そういう事だ」

 おれはルルの言葉を肯定するが、ルルはまだ聞きたい事があるようだ。

「しかし、今この荷台には馬は繋がれていないぞ」

 この保管庫にあるのは積荷を積載した荷台だけ。このままでは動かない。

「だから、裏切り者が手配するんだろ」

 この量を運び出そうとするなら、馬を荷台につないで、馬車として丸ごと持って行くのが一番効率的だ。

「私達二人で出来ると思うのか?」

 相手は何人で来るかは分からない。それでも誰が裏切り者か分からない以上は、応援を呼ぶことはできない。

「そのためにここに来たんだ」

 ルルに作戦を説明するためであれば、わざわざここに着たりはしない。密猟者に先回りして、俺にはやる事がある。

 俺達二人で密猟者を捕まえるために。

「何か作戦があるのか?」

 ルルにはまだこの作戦は伝えていないが、その前に確認する事がある。

「お前、弓の腕は確かなんだよな?」


 ●


 保管庫で用事を済ませた俺たちは、騎士団の正面にある大通りの向かいの建物の屋上に移動して、あの馬車が出て来るのを待っていた。

「ところで、密猟者が誰かは分かっているのか?」

 万一密猟者があの馬車に乗って出てきたとして、それが密猟者だと分かるのか。ルルはその心配をしているのだろう。

「俺の相棒は弓矢で殺された」

 そういえば、まだこの話をしていなかった。そして、昨日の商人の殺害方法も弓矢だった。

「昨日の暗殺者が、同一犯だというのか?」

 これだけで犯人を特定するのは早計かもしれないが、奴は今一番大きな密猟グループのトップである事は分かっている。

「可能性は十分ある」

 普通の犯罪者は、一般人を殺害したりしない。なにか理由があって殺しをする。密猟者であれば口封じに殺したというのは十分考えられる。

「相棒を殺した犯人も密猟者か?」

 話の流れから、言わなくとも分かると思ったのだが、ルルはまるで念を押すかのような聞き方だった。

「ああそうだ。密猟の捜査中に殺された」

 だからこそ、おれは密猟者を憎んでいる。

「そいつは眼帯をしていたか?」

 ルルから出てきた言葉に俺は息を飲んだ。それは相棒の仇の特徴であるが、その話を俺はまだしていない。それを知っている理由は一つだけだ。

「まさかエルフの森の密猟者も眼帯をしていたのか?」

 ルルもその密猟者の姿を見たというのか。

「私がこの前エルフの森で見た密猟者はしていたな」

 つまり、ルルはトッドが密猟したところを見たという事になる。

 それが本当であれば、恐らく密猟品を奪いに来るのはトッドになるだろうが、別の疑問が発生する。

「何故黙っていた?」

 確か昨日の時点では馬車は見たが、密猟者の姿は見ていないと言っていた。

「貴様を疑っていたからだ」

 ルルは単刀直入にそう言った。

「それは、俺が人間だからか?」

 エルフの森で密猟をしているのは人間だ。エルフであるルルは、人間であれば全員疑うという発想なのか。

「私も騎士団内部に裏切り者がいると考えている」

 ルルもここに来るまで色々とエルフとして捜査をしていたのだろう。そしてその結論に至った。

「それを話すって事は、俺は容疑者からは除外したって事か?」

 昨日は話さなかった情報を、今は話すという事はそれだけ俺は信用されるようになったと考えて良いのだろうか。

「まだ貴様を完全に信じた訳ではない。犯人を目の前にして貴様が動揺しないように先に教えてやっただけだ」

 俺とルルは、そんな事を話しながら張り込みをしていたが、日が暮れても密猟者が現れる事はなかった。


 ●


「本当に来るのか?」

月が空高くまで登った夜になっていた。

「張り込みっていうのは忍耐が必要なんだよ」

流石に白昼堂々盗み出すという度胸は無かったようだ。相手がいつ来るか分からない以上、朝から張り込んでいたが、今のところ成果は出ていない。

「これで何も起きなかったら一日を無駄にしたことになるぞ」

そう言いながらも、ルルは今日一日この張り込みに付き合ってくれている。

「そういうのも捜査には付き物だ。必ず成果が出る訳じゃ無い」

 昨日は一回で当りを引けたが、そうそう簡単に容疑者にたどり着ける訳ではない。仮にたどり着けても逃げられるなんて事もしょっちゅうだ。

「来たぞ」

 ルルがそう低く言い放った。

視線を移すと、あの馬車が保管庫から出てきた。

「みたいだな」

 薄暗い月明りの中で俺の目にもはっきりとあの馬車が見えた。

「あいつだ」

 ルルがそう呟く。

「森で見た密猟犯と同一か?」

 既に俺の目にも、御者の男は見えていた。

「ああ、間違いない」

 ルルの声が一層低くなる。余程恨みが籠っているのだろう。

「あの男の名前はトッドだ」

 特徴的な眼帯。見間違えようがない。

 こちらの予想通り、トッドはあの密猟品を、馬車ごと持って行くつもりのようだ。 馬の用意は裏切りが手引きしたのだろうか。

 とはいえ街中を全力で馬車を走らせれば逆に目立つ。

 堂々と普通に通り過ぎるつもりなのだろう。俺達に気が付かれているとも知らずに。

「行けるか?」

「当然だ」

 ルルが矢を番える。

 馬車が俺達のいる路地の前を通り過ぎた。

 それを見送るとルルは表通りに飛び出し弓を引き絞る。その先にあるのは当然あの馬車だ。

 放たれた矢は一直線に馬車へと向かう。

 そして、事前に切れ目を入れておいた車輪の軸を正確に射抜いた。

 車輪の軸は嫌な音を立てて破断し、左側後方の車輪が完全に外れた。

 荷台には前後に二つずつ合計四本の車輪があったが、その内の一つが外れたとなってはまともに動ける訳が無い。

 荷台が大きく傾き、左側が地面と接触し摩擦が発生し嫌な音を立てる。

 左側を支点として円を描くように、馬車の軌道が大きく左側に逸れる。

 同時に、荷台が地面に接触した衝撃で、手綱が荷台から外れ、馬が荷台から離れていく。

 荷台が壊れた音に驚いたのか、馬はそのまま速度を上げてどこかへと走り去っていった。

 荷台は動力を無くしたが、先ほどまでの勢いのまま、左側面が地面をこすりながら道を逸れ、左側に軌道を逸れていく

 荷台は建物に衝突し、完全に停止した。


 ●


 衝突の衝撃で荷台が壊れ、いくつかの壺が地面に落ちて割れた。

 その内のいくつかは薬草が入っていた壺だったが、アマダケが入っていた壺もあり、地面には薬草とアマダケが散乱した状態になった。

 少しもったいない事をしたが、今は犯人の確保が優先だ。

 まずは馬車の動きを止める事には成功した。

 一度止まってしまえば、そう簡単には逃げられない。

「おい、大丈夫か?」

 我ながら白々しいが、とりあえずは通行人を装って声を掛ける。

 脱輪した馬車に対して、通行人が声を掛ける。何もおかしなことは無い。そのはずなのだが向こうは密猟品を乗せた馬車だ。

 そして俺の身なりをみれば俺が騎士である事はすぐに分かるだろう。

 騎士団の保管庫から密猟品を持ち出した盗人が、馬車を壊され立ち往生したところに騎士に声を掛けられたらどうするか。

 答えは簡単だ。

荷台に掛けられていた幕が内側から開けられ、中から人二人が飛び出してくる。予想はしていたが、やはり密猟者は御者一人ではなく荷台の中にも用心棒を潜ませていたようだ。

その内一人の手には弓矢が握られていた。

このまま捕まるのであれば戦うという事だろう。

俺はすぐさま剣を抜こうとするが、その動作が終わるよりも先に、矢が風を斬る音がした。

賊が矢を番えるよりも、俺が剣を抜くよりも先に、ルルが二射目を放っていた。

ルルによって放たれた矢は相手の賊の喉を正確に射抜いていた。

流石はエルフ。弓の腕は確かなようだ。賊が武器を持っていた以上、これは正当防衛。咎められる事もないだろう。

 もう一人の手には剣が握られていたが、もう一人が射抜かれたのを見て、すぐさま路地に逃げて行った。

「追うか?」

 ルルが冷静に俺に尋ねて来る。エルフは狩猟民族だ。殺生には慣れているのだろう。そう、まだ馬車には主犯格のトッドが残っている。

「下っ端は放っておけ、トッドを捕まえるのが先だ」

 逃げるのであれば相手にする必要は無い。どうせただの用心棒だ。捕まえても大した事は知らないだろう。それよりも今はトッドを捕まえるのが最優先だ。

「やれやれ、待伏せされてたって事か」

 そう言って眼帯をしている男が荷台から降りて来る。間違いない。トッドだ。

「大人しく投降しろ」

 そう言っておれは剣の先をトッドに向ける。

 だがトッドは手に持っている弓矢を捨てようとはしない。つまり、降参するつもりはないようだ。一体この状態からどうやって逃げるつもりなのか。

没案:馬車爆破

騎士団から持ち出された馬車に罠を仕掛け、一定距離移動したら爆発するという展開を考えていたが、周りへの被害を考えたら主人公がやる事ではないと思い没になった。

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