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ヤンの章 ⑱ アゼリアの花に想いを寄せて

「メロディ…どうして急に…?」


メロディが怒っているのは何となく分かった。けれどもその理由がさっぱり分からない。


「仕方ない…教室に着いたらメロディに謝っておこう…」


結局メロディは走り去ってしまったので僕は1人で登校することにした―。




教室に入るとすぐにネロとリタが慌てて僕の所へやってきた。


「ヤン!」

「やっと来たわねっ?!」


「あ、おはよう。ネロ、リタ」


「何がおはようだよ!」

「そうよ、呑気にしている場合じゃないわよ!」


何故か2人とも随分興奮しているように見える。


「どうしたんだい?2人とも。何かあったの?」


「何かあったじゃないわよっ!」

「その通りだ。メロディと何かあったのか?」


「メロディと?うん…。実はさ、今朝も一緒に登校していたのに何故か突然機嫌が悪くなって走り去ってしまったんだよ」


すると僕の話に互いの顔を見合わせるネロとリタ。


「やっぱり…」

「ああ、間違いないな」


そして互いに頷き合う。


「え?やっぱりって?間違いないってどういう意味?」


「実はメロディ、1人で登校してきたと思ったらクルトに話しかけて2人で何処かに行ってしまったのよ」


リタが教えてくれた。


「え?クルトと?」


「そう言えばメロディはクルトに告白されたって言ってたっけ…」


「え?!本当かっ?!」

「そうだったのっ?!」


何故か驚く2人。


「え?2人とも…どうしてそんなに驚くんだい?」


「当たり前だろっ!」

「早く止めに行かなくちゃ!」


「止めに行くって…一体何処へ行けばいいんだい?」


「きっと中庭へ行ってるはずよ。あそこは告白を受けたりされたりする場所としてよく使われているんだから。ね?私達もそうだったものね?」


「そうだったな。あの時はこんな風にリタと付き合えるとは思わなかったよ」


「フフフ…私もよ」


しまいに2人は僕の存在を忘れたように、2人だけの世界に浸ってしまった。

仕方ない…。何故中庭へ行かなければいけないのか理由も分からないまま、僕はメロディを探しに向かった―。




****


「本当にここにメロディはいるのかな…?」


中庭へやってくると僕は周りをキョロキョロと見渡した。中庭には木々が植えられ、中央には大きな花壇があり色鮮やかなパンジーが植えられている。そして木の陰に隠れるようにメロディとクルトが向かい合っている姿を目にした。2人共真剣な顔をして何やら話をしている。


「…何を話しているんだろう?でもメロディはクルトに告白されたって言ってたから告白の返事をしているのかな?」


だとしたら僕が出ていくのは邪魔では無いだろうか…?


やっぱり教室に戻ろう…。メロディ達に背を向けて歩きかけたその時―


「いやっ!離してよっ!!」


突然メロディが大きな声をあげた―。






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