表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

117/123

アゼリア&カイの章 ⑯ また…会えたね(カイside)

「とりあえず、ここで話をするのも何だし…何処かで食事でもしながら話さない?」


僕の提案にラルフが頷いた。


「そうだな、色々な事がありすぎて俺腹が減っちゃってさ〜」


「私も〜お腹すいたわ」


「良かったわ、ケイト。元気が出たみたいで」


アゼリアが友人に笑顔を見せている。それが何とも言えず不思議な感覚だった。前世では主とメイドという間だった2人が、今は親友として並んで立っているのだから。


「どうしたんだ?カイ」


そんな僕にラルフが声を掛けてきた。


「あ、何でも無いよ。それじゃ何処で食事をしようか?」


「このホテルのレストランでいいんじゃないかな?移動する時間が勿体ないよ」


「そうね、私もそれに賛成だわ」


ラルフに引き続き、ケイトさんも頷く。…この2人、意外とお似合いかもしれないと僕は心のなかでふと思った。



 そして僕達4人は連れ立って、このホテルにあるレストランへ向かった。


「ねぇ、カイ。あの2人…何だかお似合いだと思わない?」


アゼリアが前を並んで歩くラルフとケイトの後ろ姿を見ながら僕に囁いてきた。 見ると2人は仲よさげに話をしている。


「うん、そうだね…。僕もそう思うよ」


前世ではマルセルがアゼリアとケリーをフレーベル家から救い出してくれた。ケリーはマルセルを慕っていたし、マルセルはケリーを可愛がっていた。その光景が今の2人と重なって見える。


「カイ?どうしたの?」


「…こんな出会いがあるなんて、まるで奇跡だなって思ったんだよ」


「そうね…私もそう思うわ」


あの2人は…ひょっとすると今世ではうまくいくかもしれない…。


そんな予感がした―。




****


 ホテルのレストランで僕達は向かい合わせに座っていた。


「それでどうして2人が一緒にいたのか、最初に教えてくれないかな?」


僕は隣の席で美味しそうにステーキを頬張っているラルフに尋ねた。


「ああ、それなんだけどさ…俺と彼女…ケイトは『医術歴史記念館』で偶然会ったんだよ」


「え?そうだったの?それじゃ…中に入る事が出来たのね?」


アゼリアが隣に座るケイトに尋ねた。ケイトはパスタを口にしている。


「ええ、そうなのよ。本当はずっと中に入ろうかどうしようか迷っていたのだけど、彼が…」


言いながらケイトはラルフをチラリと見た。


「うん、俺も『医術歴史記念館』に行ったんだよ。『リンデン』の観光案内のHPを見ていたら何だか突然行ってみたくなったんだよな〜」


その話に僕とアゼリアは顔を見合わせた。やっぱりマルセルは『リンデン』に来て少しずつ前世の記憶が戻ってきているのかもしれない。


「ラルフ…それにケイト。今から話すこと…とても信じられないかもしれないけど、聞いてくれるかな…?


「聞かせてくれよ」

「私も知りたいわ」


ラルフとケイトが真剣な顔で僕を見る。


「うん、実はね…」


そこで僕はラルフとケイトに『アゼリアの丘』の上でアゼリアに話した僕達の前世の記憶を再び、話し始めた―。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ